富国生命投資顧問株式会社

コラム

Vol.43

今月のコラムから、SASBの「Engagement Guide Version2.0」から各セクターのESGエンゲージメントを紹介させて頂きます。第23回目の今回は、「資源採掘および鉱物加工セクター(Extractives & Minerals Processing Sector)」から「石炭事業(Coal operations)」関連企業とのエンゲージメントテーマを取り上げます。

石炭関連業界は、石炭の採掘や石炭製品を製造する企業で構成されています。採掘作業は、一般炭と原料炭の地下採掘と露天採掘の両方をカバーします。

この石炭関連業界のエンゲージメントテーマは、「環境」「社会資本」「人的資本」「ビジネスモデルおよびイノベーション」「その他考慮事項」で構成されています。

「環境」に関しては、「温室効果ガス排出」、「水管理」、「廃棄物管理」、「生物多様性への影響」をテーマとして掲げています。「温室効果ガス排出」については、「排出抑制の規制による企業への影響はどのようなものか?そして、事業拠点の配置は、この分析をどのように考慮しているか?」、「スコープ1排出量を管理するため、どのような戦略を採用しているのか?そして、これまでどのような結果を得ているのか?」という点に焦点を当てています。「水管理」では、「どのようにして水効率を高め、水利用を管理しているのか?そして、水利用における主なリスクとは何なのか?」、「特に水ストレスの大きい地域において、水供給が途絶する可能性、もしくはコストの増加を最小限に抑えるため、企業はどのような戦略を採用しているのか?」、「どのような水質許可、基準、規制が企業に適用されているか?そして、企業は、こうしたガイドラインを遵守するために、どのような取組みを行っているのか?」という3点に着目しています。「廃棄物管理」に関しては、「鉱滓の貯水池の保全性を確保するために、企業はどのような取組みをしているのか?また貯水池の潜在的危険性はどれほど大きいのか?」という点についてエンゲージメントします。「生物多様性への影響」については、「事業活動における環境および生物多様性への影響を管理するため、企業はどのような戦略を採用しているのか?」、「炭鉱から流出する酸性排水に関連するリスクと環境への影響を、企業はどのように制限・管理しているのか?」、「保護区域や絶滅危惧種の生息地での事業活動を企業はどのように管理してそれに付随するリスクを特定し軽減しているか?」という3点についてエンゲージメントすることを求めています。

「社会資本」については、「先住民族の権利」、「地域社会との関係」をテーマとして掲げています。「先住民族の権利」については、「自社の事業所が原住民の土地にどれくらい近接して存在しているのか?また、先住民の土地の近くの可採埋蔵量の取り扱いはどのような方針によって決定されているのか?」、「先住民の権利と利益に関するリスク・機会を管理する企業戦略はどのようなものか?」という点に着目しています。「地域社会との関係」では、「自社が操業している地域社会との関係に関連するリスクと機会に対処するため、どのようなプロセスを取っているのか?」、「コミュニティー関連の問題により、技術的でない遅れを経験したことがあるか?そしてそれらをどのように解決したのか?」という2点を取り上げています。

「人的資本」については「労使関係」、「労働安全衛生」、をテーマとして掲げています。「労使関係」では、「従業員に関する主なリスクと機会とは何か?そして、労働協約の対象となる社員を含め、全従業員との関係をどのように管理しているのか?」、「企業は、労務関連による生産中断のリスクをどのように最小限に抑えているのか?」という2点を確認しています。「労働安全衛生」では、「従業員の安全衛生に関する取組みにおいて、企業はどのような成果を上げてきたか?そして、強固な安全文化をどのように推進しているのか?」という点と、「どのような安全衛生上の問題が従業員に最大のリスクをもたらすのか?そして、企業はどのようにそれらのリスクに対応しているのか?」という点に焦点を当てたエンゲージメントが求められています。

「ビジネスモデルおよびイノベーション」については、「評価引当金および設備投資額」をテーマとし、「企業はどのように排出規制や気候変動への配慮を自社の引当金の評価に組み入れているのか?」、「炭素価格を説明する将来の価格予測シナリオの感度分析を企業は行っているか?もしそうであれば、どのような結果を示しているのか?」、「石炭価格や石炭需要、気候変動規制は、資産(炭鉱)の探査および開発のための設備投資戦略にどのような影響があるのか?」という3点に注目しています。

「その他考慮事項」については、「一般炭の生産量」と「原料炭の生産量」を挙げています。