コラム

Vol.40

SASBの「Engagement Guide」のESGエンゲージメントを紹介する第20回目の今回は、「輸送機器セクター(Transportation Sector)」から「自動車部品(Auto Parts)」関連企業とのエンゲージメントテーマを取り上げます。

自動車部品業界に属する企業は、触媒コンバーター、アルミホイール、タイヤ、バックミラー、車載用電気・電子機器の他、エンジン排気、代替駆動装置、ハイブリッドシステムを含む多種多様な自動車部品および付属品の製造・組み立てに従事しています。自動車部品業界は、部品を主に完成車メーカーにOEM供給しています。この業界はグローバルに事業を展開しており、製造施設は一般的に自動車組み立て工場近くに配置されています。自動車産業の延長線上として、自動車部品業界の持続可能性に関する課題は、安全かつ効率的な車両に対する消費者の要求や、資源利用、競争的取引慣行に対する規制当局の関心が高まったことによりもたらされています。

そうした状況を踏まえ、自動車部品業界のエンゲージメントテーマは、「環境」「社会資本」「ビジネスモデルおよびイノベーション」「リーダーシップおよびガバナンス」「その他考慮事項」で構成されています。

「環境」に関しては、「エネルギー管理」と「原材料の効率性と廃棄物管理」をテーマとして掲げています。「エネルギー管理」では、「企業にとって主なエネルギー源は何なのか?企業のエネルギー補給は、化石燃料価格の変動や電気料金の上昇によってどのように影響を受ける可能性があるのか?」といった点に注目しています。「原材料の効率性と廃棄物管理」に関しては、「企業はどのようにして製造時における原材料の効率性の改善や廃棄物の削減を行っているのか?」という点を取り上げています。

「社会資本」については、「製品の安全性」をテーマとし、「企業は、製品の安全性に関する欠陥をどのように最小限に抑えているのか?」という点に着目しています。

「ビジネスモデルおよびイノベーション」では、「製品のライフサイクル管理」をテーマに以下の三つが掲げられています。「企業は、ますます厳格化する燃費基準や燃費性能を高める製品に対する顧客の要求にどのように対応しているのか?」、「企業は、製品のリサイクル性や再利用性をどのようにして向上させようとしているのか?」、そして「企業はリサイクルされた原材料や再製部品の使用を製造工程にどのように組み込んでいるのか?」

「リーダーシップおよびガバナンス」については、「競争的行為」と「資材調達」をテーマとしています。「競争的行為」においては、「談合、価格操作、不正入札といった反競争的行為のリスクを軽減するために企業はどのような内部統制を用いているか?」という点を確認しています。「資材調達」に関しては、「重要な原材料の供給が途絶したとき、企業はどのような影響を受けるのか?そして、どのような部材がそうしたリスクを抱えているのか?」という点と、「企業は、製品の中に紛争鉱物が存在する可能性をどのように監視・管理しているのか?」という2点に注目しています。

「その他考慮事項」については、「生産される部品の数や重量」および「製造工場の総面積」の2つが挙げられます。