2026年9月-Vol.364
  • 概要
  • 国内債券
  • 国内株式
  • 外国債券
  • 外国株式
  • 為替動向
  • 虫眼鏡

主なポイント

今月は日米欧の主要中央銀行の金融政策決定会合が開かれます。中東情勢に伴う原油高などから世界的にインフレ圧力が強まるなか、いずれも利上げ観測が高まっています。日銀では円安や物価上昇を背景に追加利上げが有力視されており、実施されればこれまでより短い間隔での利上げとなります。米国では7月のFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利が据え置かれましたが、3名の委員が利上げを主張しました。ウォーシュFRB(連邦準備理事会)議長もジャクソンホール会議でインフレへの警戒姿勢を示しています。欧州ではECB(欧州中央銀行)による追加利上げが見込まれています。日銀が利上げペースを速めるか、FRBがインフレ抑制を優先して利上げに踏み切るかが注目されます。
今月の主なポイントは以下の通りです。

9/10 (欧)ECB理事会・・・利上げが見込まれる
9/15 (米)FOMC(16日まで)・・・利上げの可能性
9/17 (日)金融政策決定会合(18日まで)・・・利上げが見込まれる
9/17 (英)金融政策委員会・・・現状維持が見込まれる 

市場見通し

国内債券

長期金利は、中東情勢の不透明感などを背景とした物価上振れリスクの高まりや、日銀の追加利上げ観測を受け、上昇すると予想する。

国内株式

これまで相場を牽引してきたAI関連株は利益確定売りに警戒が必要な一方、底堅い企業業績や好決算銘柄への買いが下値を支え、上昇すると予想する。

海外債券

<米国>エネルギー価格の高止まりを受けたインフレ懸念は金利上昇要因となるものの、雇用に弱さがみられることが金利低下要因となり、金利は横ばいでの推移を予想する。

<欧州>ECBが利上げを行うとの見方や、エネルギー価格の高止まりを背景にインフレ懸念が継続することなどから、金利は小幅上昇すると予想する。

海外株式

<米国>高金利環境の長期化が懸念されるものの、米国経済が堅調に推移するなか、幅広い業種での企業業績の拡大期待が支えとなり、底堅い展開を予想する。

<欧州>エネルギー価格の高止まりや金利上昇による経済への影響が懸念されるものの、堅調な企業業績動向やドイツを中心とした財政拡張政策が支えとなり、底堅い展開を予想する。

為替市場

米国の景気に弱さがみられることや、日銀が利上げを行うとの見方から、ドルは対円で下落すると予想する。インフレ懸念などからECBが先行して利上げを行うなか、ユーロは対ドルで上昇すると予想する。

政策金利
出所:内閣府

国内債券

8月の国内債券市場

指標銘柄/新発10年国債

8月の国内長期金利は、日銀の追加利上げ観測の高まりや財政拡張への警戒感などを受けて上昇し、月末は2.940%で終了した。

国内長期金利は、4日の10年債入札が弱い結果だったことから2.8%台後半まで上昇した後、原油価格の下落などを受けて2.7%台後半に低下した。その後、10日に公表された日銀の7月会合の「主な意見」で早期利上げに前向きな意見が多くみられたことから、市場の追加利上げ観測が高まり、2.9%台半ばまで上昇した。月末にかけては、米金利の低下などを受けてやや低下する場面もみられたが、2027年度予算の概算要求額が過去最大の143兆円超となる見通しとなり、財政拡張への警戒感が高まったことで上昇し、月末は2.940%で終了した。

イールドカーブについては、日銀の追加利上げ観測の高まりから短期・中期ゾーンの金利上昇幅が相対的に大きくなり、フラット化した。信用スプレッドは、横ばいとなった。

9月の国内債券市場

9月の国内長期金利は、中東情勢の不透明感などを背景とした物価上振れリスクの高まりや、日銀の追加利上げ観測を受け、上昇すると予想する。9月の債券市場のポイントは、①日銀の動向、②国内債券市場の需給動向、③米国金利の動向と考える。中東情勢は緊迫した状態が続いており、引き続き国内物価や金融政策を左右する重要な要因となるだろう。

①<日銀の動向>8月27日の氷見野副総裁の講演では、9月の利上げを示唆する発言はなかったものの、これまで以上に物価の上振れリスクを意識する必要があると述べ、利上げを継続する姿勢を強調した。9月は、8月31日~9月1日のG20財務大臣・中央銀行総裁会議における植田総裁の発言や、2日の高田審議委員、10日の増審議委員の講演などが予定されている。各委員の発言内容や物価指標の結果などを受けて日銀の追加利上げ観測が変化し、金利の変動幅が大きくなることが考えられる。

②<国内債券市場の需給動向> 9月は、10年債(1日)、30年債(3日)、5年債(8日)、20年債(15日)、40年債(29日)、2年債(30日)の入札が予定されている。日銀の追加利上げ観測や27年度予算を巡る財政拡張への警戒感などから、引き続き金利の先高感が意識されやすい展開が続くとみている。加えて、9月は日銀の会合(17~18日)までの間に入札が集中しており、会合結果を見極めるまでは投資家の様子見姿勢が強まりやすいとみられ、入札結果次第では金利の変動幅が大きくなることが考えられる。

③<米国金利の動向>8月末のジャクソンホール会議において、FRB(連邦準備理事会)のウォーシュ議長はインフレ率の高止まりを指摘し、基調的なインフレ率が2%目標へ向かっているとの確信を持てない場合には行動することを示唆した。これらの発言が追加利上げに前向きな姿勢と捉えられ、FRBの9月利上げ観測が高まった。CPI(消費者物価指数)などの物価指標の結果を受けてFRBの追加利上げ観測が変化し、米国長期金利の変動を通じて国内金利にも影響を与えると考えられる。

イールドカーブは、フラット化すると予想する。信用スプレッドは、横ばいを予想する。

国内株式

8月の国内株式市場

日経平均株価225種 東証株価指数(TOPIX)

8月の国内株式市場は、内外需の好決算銘柄が牽引し、TOPIX(東証株価指数)は史上最高値を更新した。月末にかけては中東情勢の不透明感や日米長期金利の上昇を嫌気して軟調となる局面もあったが、米半導体大手の予想を上回る好決算を受け反発、日経平均株価で3.03%の上昇となった。

月初は、日米の円買い協調介入を受け、円安メリットの剥落が嫌気された自動車などの輸出関連株主導で下落して始まったものの、4-6月期決算において内外需企業ともに好決算が発表された銘柄が牽引したほか、米国の早期利上げ観測の後退によるハイテク株の上昇を背景にAI・半導体関連株や銀行、防衛関連株などが幅広く買われ、TOPIXは史上最高値を更新した。その後は中東情勢の不透明感や日米長期金利の上昇を嫌気してAI・半導体関連株が大きく売られる局面もあったが、米半導体大手の予想を上回る好決算を受けAI・半導体やソフトウエア関連株の一角が物色されたほか、堅調な国内企業業績への評価が高まり、反発した。業種別には、サービス、海運、非鉄金属などが上昇し、保険、ガラス・土石、倉庫などが下落した。

9月の国内株式市場

日米両国の金融政策をにらみ、前半は上値の重い展開を予想する。これまで相場を牽引してきたAI関連株は利益確定売りに警戒が必要な一方、底堅い企業業績や好決算銘柄への買いが下値を支え、上昇を予想する。

中旬に控えるFOMC(連邦公開市場委員会)での政策金利の行方や、市場で追加利上げ確率が高まっている日銀金融政策決定会合など日米両国の金融政策イベント、さらには機関投資家による利益確定売りが出やすい季節要因や中東情勢の緊迫化に伴う原油価格・長期金利の高止まりに対する警戒感も相まって、前半はこれまで相場を牽引してきたAI関連株などを中心に利益確定の動きとなり、上値の重い神経質な展開を予想する。しかし、市場の重荷となっていた金融政策を巡る不確実性が各中央銀行の会合を経て想定内の見通しとなれば、堅調な米国マクロ環境の安定化を背景に、企業の底堅い業績動向、好決算を発表した銘柄への見直し買いが相場の下値を支え、月末の3月期決算企業による中間配当の権利獲得に向けた買い需要の流入なども追い風となり、株式市場は再び上昇へ転じるとみている。

一方、リスク要因としては、不透明感を増す中東情勢や、それに伴う原油価格の上昇などを背景に、米国のインフレ懸念が依然として払拭されていない点があげられる。こうしたなか、FRB(連邦準備理事会)がこれまで以上にタカ派姿勢を強め、9月以降に追加利上げを連続して実施するとの懸念が高まった場合には、グロース株、とりわけバリュエーションの高いAI・半導体関連株を中心に、株価調整が一段と進む可能性がある。

外国債券

8月の米国債券市場

米10年国債

8月の米国の長期金利は、中東情勢が不透明な状況が継続したことや、FRB(連邦準備理事会)のウォーシュ議長のジャクソンホール会議での発言を受けて上昇した。

前半、米国とイランの交渉進展期待や米雇用の悪化を受けて、一時4.6%程度まで低下する場面もあったが、中東情勢の緊張緩和期待が後退すると上昇する展開となった。その後、米CPI(消費者物価指数)が予想の範囲内となったことで再び低下したが、日欧の長期金利の上昇などを受けて米国の長期金利にも上昇圧力がかかった。月末にかけては、ジャクソンホール会議でFRBのウォーシュ議長が、インフレ鈍化が不十分なら追加対応が必要との認識を示し利上げ観測が高まったことから上昇し、月末は4.7%台半ばとなった。

イールドカーブは、FRBの利上げ観測などから中短期ゾーンを中心に上昇したことで、フラット化した。

8月の欧州債券市場

ドイツ10年国債

8月の欧州(ドイツ)の長期金利は中東情勢の混乱を受けたインフレ懸念や、景気回復期待などから上昇した。

前半、米国とイランの交渉進展期待や米国の長期金利低下を受けて、ドイツの長期金利にも低下圧力がかかり、一時3.1%程度まで低下する場面もあったが、中東情勢の緊張緩和期待が後退すると上昇する展開となった。後半にかけては、ドイツの景況感の改善などを受けて上げ幅を拡大し、月末は3.3%程度となった。

ドイツ国債のイールドカーブは、インフレ懸念などから超長期ゾーンの金利が上昇しスティープ化した。周辺国の対ドイツ国債スプレッドは、概ね横ばい圏での推移となった一方、フランスは財政悪化懸念などから拡大した。

9月の米国債券市場

9月の米国の長期金利は、エネルギー価格の高止まりを受けたインフレ懸念は金利上昇要因となるものの、米国の雇用に弱さが見られることが金利低下要因となり、横ばいでの推移を予想する。

9月の欧州債券市場

9月の欧州(ドイツ)の長期金利は、ECB(欧州中央銀行)が利上げを行うとの見方や、エネルギー価格の高止まりを背景にインフレ懸念が継続することなどから、小幅上昇すると予想する。エネルギー価格の変動に伴い上下に振れる状況が想定されるものの、周辺国の対ドイツ国債スプレッドは概ね横ばいでの推移を予想する。

外国株式

8月の米国株式市場

米国S&P500指数 ダウ工業株30種平均

8月の米国株式市場は、S&P500指数で2.62%の上昇となった。市場予想を上回る4-6月期の企業決算に加え、雇用統計やCPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)が市場予想を下回ったことで利上げ観測が後退し、最高値を更新した。その後は、地政学的リスクへの警戒感に加え、AI関連投資を進める大手テクノロジー企業による相次ぐ起債を背景に、金利上昇への懸念が高まったほか、FRB(連邦準備理事会)議長の発言を受けて金融引き締めへの警戒感が再び強まり、上値を抑える展開となった。セクターでは、エネルギー、情報技術、素材などが上昇する一方、公益事業、資本財・サービス、不動産などが下落した。

8月の欧州株式市場

ドイツDAX指数 イギリスFT-SE(100種)指数

8月の欧州株式市場は上昇した。好調な企業決算に加え、米国とイランの交渉進展への期待を背景に原油価格が下落したことが好感され、上昇した。一方、月後半には中東情勢を巡る緊張緩和期待が後退したことから、上げ幅を縮小した。国別では、アイルランド、オーストリア、ポルトガルなどが上昇し、フランス、イギリス、スイスが下落した。セクターでは、素材、情報技術、コミュニケーション・サービスなどが上昇し、生活必需品、不動産、公益事業などが下落した。

8月の香港株式市場

香港ハンセン指数

8月の香港株式市場は上昇した。中国の大手半導体企業の本土市場への上場を受け、AI・半導体関連投資の拡大期待が続くなか、韓国、台湾の情報技術関連銘柄が牽引し上昇した。国別では、台湾、シンガポール、韓国などが上昇し、フィリピン、タイ、インドネシアなどが下落した。セクターでは、素材、ヘルスケア、情報技術などが上昇し、コミュニケーション・サービス、一般消費財・サービス、生活必需品などが下落した。

9月の米国株式市場

9月の米国株式市場は、上昇を予想する。高金利環境の長期化が懸念されるものの、米国経済が堅調に推移するなか、幅広い業種での企業業績の拡大期待が支えとなり、底堅い展開を予想する。

9月の欧州株式市場

9月の欧州株式市場は、上昇を予想する。エネルギー価格の高止まりや金利上昇による経済への影響が懸念されるものの、堅調な企業業績動向やドイツを中心とした財政拡張政策が支えとなり、底堅い展開を予想する。

9月の香港株式市場

9月の香港株式市場は、上昇を予想する。米国の金融緩和期待の後退が重石となるものの、中国政府による景気支援策の継続に加え、AI関連を中心とした設備投資の拡大を背景に、テクノロジー企業の業績拡大が期待され、底堅い推移を予想する。

為替動向

8月のドル/円相場

為替(ドル/円)

8月のドル/円相場は、中東情勢の不透明感の継続や、米国の利上げ期待の高まりなどから上昇した。

前半、日米による協調介入などにより155円台前半まで下落したが、効果は一時的との見方や、中東情勢の緊張緩和期待の後退などから、徐々に上昇基調となった。その後は、為替介入への思惑などから159円を挟んでもみ合う展開となったが、ジャクソンホール会議でFRB(連邦準備理事会)のウォーシュ議長が、インフレ鈍化が不十分なら追加対応が必要との認識を示したことで利上げ観測が高まり、一時160円台前半まで上昇した。月末にかけてはやや値を戻し、月末は159円台後半となった。

8月のユーロ/ドル相場

為替(ドル/ユーロ)

8月のユーロ/ドル相場は、中東情勢の緊迫化を受け、欧州のインフレ懸念が強まったことに伴うECB(欧州中央銀行)の利上げ観測などから上昇し、月末は1.16ドル台前半となった。

8月のユーロ/円相場

為替(ユーロ/円)

8月のユーロ/円相場は、ユーロ高円安となった。ドルに対して円は下落、ユーロは上昇したことから、ユーロ高円安となり、月末は185円台半ばとなった。

9月のドル/円相場

9月のドル/円相場は、米国の景気に弱さがみられることや、日銀が利上げを行うとの見方から、下落すると予想する。

9月のユーロ/ドル相場

9月のユーロ/ドル相場は、インフレ懸念などからECBが先行して利上げを行うなか、上昇を予想する。

9月のユーロ/円相場

9月のユーロ/円相場は、下落を予想する。ドルは円・ユーロに対して下落するが、円に対する下落幅の方が大きくなるため、ユーロ/円は下落を予想する。

虫眼鏡

FIFAワールドカップで日本代表が優勝するとき

今年6月から7月にかけて、米国、カナダ、メキシコでサッカーの世界大会、FIFAワールドカップが開催され、スペイン代表の優勝で幕を閉じました。日本時間早朝の試合も多く、早起きして観戦した方もいらっしゃったのではないでしょうか。私もその一人です。

今大会では森保日本代表監督が優勝を目標に掲げ、代表チームは歴代最強とも言われており、前評判は高かったと思いますが、残念ながら決勝トーナメント1回戦でブラジルに敗れ、ベスト32に終わりました。合計4試合を戦い、1勝1敗2引き分けの結果となりました。主力の一部をけがで欠き、万全でなかったとは言えますが、それは他のチームでも同じことなので、客観的に見てまだ優勝できる力は無かったのだと思います。時々強豪国に勝てることはあっても、長丁場のリーグ戦からトーナメント戦を決勝まで戦うということは現状では難しいのではないでしょうか。

そこで、過去の優勝チームがどの程度のレベルであったかを客観的データとしてFIFAランキングを用いて検証してみたいと思います。ランキングの算出方法は途中で変更されていますが、その点は特に考慮せずランキングの順位のみで見ていきます。データの都合で、ランキングは1993年末時点からとしました。この間、1994年から2026年までワールドカップは9回開催され、優勝国は6か国です。第1回大会の1930年まで遡っても、優勝国は8か国にすぎず、少数の強豪国が独占しています。

今年優勝したスペインの昨年末のランキングは1位、その前は2010年に優勝していますが、その前年はやはり1位でした。他の優勝国の前年のランキングを見ると、ブラジルは3位と3位、フランスは6位と9位、イタリアは12位、ドイツは2位、アルゼンチンは5位でした。イタリアのみ二桁順位ですが、それ以前は頻繁に一桁順位を経験しています。ちなみに今年の準決勝では直前のランキング1位から4位のチームが戦っており、順当な勝ち上がりでした。このようにFIFAランキングは客観的に強さを測るには良い尺度と言えるでしょう。

以下の表は1993年からのFIFAランキングの推移を表しています。

FIFAランキング推移

それでは日本はどうでしょうか。昨年末時点では18位でしたが、1993年以降、年末時点では一度も一桁順位を経験していません。将来、日本が優勝できるのは、ランキングが連続して一桁台に入るようになってからではないでしょうか。

出所:FIFA/コカ・コーラワールドランキング