2026年5月-Vol.360
  • 概要
  • 国内債券
  • 国内株式
  • 外国債券
  • 外国株式
  • 為替動向
  • 虫眼鏡

主なポイント

19日に1-3月期GDPが発表されます。10-12月期は前期比年率+1.3%と2四半期ぶりのプラスとなりました。1‐3月期も内需は2025年度補正予算の執行に伴う公的固定資本形成の増加などに支えられて底堅く推移し、外需についても米国向け自動車輸出の持ち直しなどを背景に輸出が増加に転じ、プラスとなる見込みです。4-6月期は、中東情勢の緊迫化を受けた原油価格上昇や供給制約の影響が懸念され、ゼロ近傍の低成長にとどまるとみられており、月次の経済指標が注目されます。
今月の主なポイントは以下の通りです。

5/12 (米)4月CPI・・・伸びが一段と高まるか
5/19 (日)1‐3月期GDP・・・上記参照
5/22 (日)4月全国CPI・・・伸び鈍化から反転か
・米国とイランの和平交渉の進展

市場見通し

国内債券

長期金利は、物価の上振れリスクの高まりを背景に、日銀が利上げ継続姿勢を維持することなどから上昇すると予想する。

国内株式

中東情勢の不透明感がくすぶるものの、市場の関心は3月期決算の本格化に伴い企業業績へと移ろう。原油高によるコスト増が懸念されるが、半導体やAI設備投資関連企業などの好調な収益が下支えとなり、一進一退を繰り返しながらも堅調に推移すると予想する。

海外債券

<米国>米国・イランの和平交渉の進展期待は金利低下要因となるものの、エネルギー価格の高止まりを受けたインフレ懸念が続くことから、金利は上昇すると予想する。

<欧州>ドイツの景気回復が緩慢であることは金利低下要因となるものの、エネルギー価格の高止まりを背景にインフレ懸念が継続することなどから、金利は上昇すると予想する。

海外株式

<米国>半導体や資本財・サービスなどを中心としたAI設備投資関連や生産性向上が利益成長を支える展開が継続し、底堅い推移を予想する。

<欧州>中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の高止まりが経済に与える影響が懸念されるものの、ドイツを中心とした財政拡張政策に支えられ、底堅い推移を予想する。

為替市場

中東情勢の不透明感はドル高要因となるものの、日銀による利上げ継続姿勢が円高要因になると見込むことから、ドルは対円で横ばいでの推移を予想する。欧米ともに金利は上昇を見込んでいることから、ユーロは対ドルで横ばいを予想する。

政策金利
出所:内閣府

国内債券

4月の国内債券市場

指標銘柄/新発10年国債

4月の国内長期金利は、原油価格の上昇によるインフレ懸念を背景に上昇し、月末は2.515%で終了した。

国内長期金利は、引き続き中東情勢に左右される展開となった。原油価格が高止まりするなか、下旬にかけては2.4%程度での推移が続いた。日銀は中東情勢の影響を見極めるため、27~28日の金融政策決定会合で政策金利を据え置いたが、イランの提案を米国が拒否したとの報道などを受けて原油価格が再び上昇基調となったことで、インフレ懸念を背景に金利は上昇し、月末は2.515%で終了した。

イールドカーブについては、原油価格上昇によるインフレ懸念などから中期・長期ゾーンを中心に上昇し、フラット化した。信用スプレッドは、横ばいとなった。

5月の国内債券市場

5月の国内長期金利は、物価の上振れリスクの高まりを背景に、日銀が利上げ継続姿勢を維持することなどから上昇すると予想する。5月の債券市場のポイントは、①中東情勢の動向、②日銀の動向、③米国金利の動向であるが、引き続き①中東情勢の動向の影響が最も大きいとみられる。

①<中東情勢の動向>中東情勢の緊迫化を背景に、原油価格の高止まりやエネルギー供給懸念が続いている。日本では、物価上昇と景気減速が同時に進行するリスクが高まり、日銀の金融政策判断は一段と困難になっている。また、原油高に伴い電気代などの光熱費が上昇する場合、景気減速を警戒する政府が補助金を拡充する可能性もあり、財政悪化が再び意識される展開も想定される。中東情勢は金融政策と財政政策の双方に影響を与え、金利の変動幅を拡大させる要因となり得る。

②<日銀の動向>日銀は4月の金融政策決定会合で政策金利を据え置いたが、利上げを支持する委員は3名に増加し、2026年度の物価見通しを上方修正するなど、利上げ継続姿勢を維持した。5月は12日に4月会合の「主な意見」が公表されるほか、14日に増審議委員、16日に氷見野副総裁の講演が予定されている。両委員は4月会合で金利据え置きに賛成したが、講演内容次第では日銀の追加利上げ観測が変化し、金利の変動幅が大きくなることが考えられる。

③<米国金利の動向>4月のFOMC(連邦公開市場委員会)では政策金利が据え置かれたが、声明文の将来的な金融緩和を示唆する文言に反対する委員が3名いたことや、原油高によるインフレ懸念を受けて、市場では政策金利は当面据え置かれるとの見方が強まっている。今後、中東情勢や原油価格の動向を受けてFRB(連邦準備理事会)の金融政策予想が変化することで米国長期金利の変動幅が大きくなり、国内金利に波及することが考えられる。

イールドカーブは、上方シフトすると予想する。信用スプレッドは、横ばいを予想する。

国内株式

4月の国内株式市場

日経平均株価225種 東証株価指数(TOPIX)

4月の国内株式市場は、地政学リスクの緩和とAI・半導体関連株の好業績を背景に、投資家のリスクオン姿勢が鮮明となり、日経平均株価で16.10%の大幅な上昇となった。

米国とイランの停戦協議を受けて、新年度入りの資金流入が追い風となり、月初から半導体や金融セクターを中心に買い戻しが進んだ。中旬以降も、米国SOX指数の急騰や台湾ファウンドリ最大手企業の好決算を背景に、AI・半導体関連の値がさ株が相場を牽引し上昇した。3月の中東情勢の緊迫化に伴う原油高や「株・債券・通貨」のトリプル安というリスクオフから一転、投資家のリスクオン姿勢が鮮明となり、日経平均株価は史上最高値を更新する展開となった。

下旬にかけても、2026年3月期決算発表が本格化するなか、米ハイテク大手の好決算や防衛関連銘柄への資金流入などが後押し、日経平均株価は終値で史上初めて6万円の大台を突破した。業種別には、非鉄金属、電機、ガラス・土石などが上昇し、鉱業、石油・石炭、水産・農林などが下落した。

5月の国内株式市場

中東情勢の不透明感がくすぶるものの、市場の関心は3月期決算の本格化に伴い企業業績へと移ろう。原油高によるコスト増が懸念されるが、半導体やAI設備投資関連企業などの好調な収益が下支えとなり、一進一退を繰り返しながらも堅調に推移すると予想する。

中東情勢は停戦協議により最悪期を脱したものの、不透明感は依然として払拭されておらず、原油高に伴うエネルギーコストの上昇が企業収益を圧迫する懸念は残る。しかし、3月期決算発表が本格化するなか、生成AIの普及や先端半導体への旺盛な設備投資を背景とした関連企業の収益見通しは底堅く、こうした好悪材料の混在により、今後はファンダメンタルズに基づく選別が一段と加速するとみている。好決算や株主還元の強化を打ち出した銘柄が買われる一方、コスト増を価格転嫁できない銘柄は売られるといった二極化が進み、市場の関心は地政学リスクから企業業績へと本格的に移行しよう。相場は4月の急騰後の売りに押され、当面は一進一退を繰り返す可能性が高いものの、半導体やAI設備投資関連企業の成長力と収益の改善を再評価する流れに変化はなく、全体としては底堅い動きを維持すると予想する。

リスク要因としては、日銀による追加利上げのタイミングが挙げられる。金利上昇への警戒感がバリュエーション調整を促し、上値を抑える重石となる可能性には留意が必要である。

外国債券

4月の米国債券市場

米10年国債

4月の米国の長期金利は、中東情勢緊迫化によるエネルギー供給不安の長期化への懸念が高まったことなどから、小幅上昇となった。

前半、米国とイランが一時的な停戦で合意したとの報道を受け原油価格が下落すると、インフレ懸念の後退などから一時4.2%台前半まで低下した。しかし、その後もホルムズ海峡は封鎖された状況が続いたことでインフレ懸念は払拭されず、方向感に欠ける推移となった。後半にかけては、恒久的な停戦に向けた協議が進展せず、トランプ大統領がイランの港湾封鎖が長期化するとの認識を示すと、原油価格は再び上昇に転じ、インフレ懸念などから金利も大幅に上昇する展開となり、月末は4.3%台後半となった。

イールドカーブは、利下げ観測の後退などから、小幅にフラット化した。

4月の欧州債券市場

ドイツ10年国債

4月の欧州(ドイツ)の長期金利はエネルギー供給不安の長期化によるインフレ懸念などから、小幅上昇となった。

前半、米国とイランが停戦協議を開始すると、インフレ懸念の後退などから、2.9%程度まで低下した。しかし、その後はホルムズ海峡における通航正常化の兆しが見えないなか、3.0%を挟んだ動きとなった。後半にかけては、トランプ大統領がイランの港湾封鎖が長期化するとの認識を示すと、インフレ懸念から上昇し、月末は3.0%台前半となった。

ドイツ国債のイールドカーブは、小幅にスティープ化した。周辺国国債とドイツ国債の利回り差は、前月に急拡大した反動などから縮小した。

5月の米国債券市場

5月の米国の長期金利は、米国・イランの和平交渉の進展期待は金利低下要因となるものの、エネルギー価格の高止まりを受けたインフレ懸念が続くことから、上昇すると予想する。

5月の欧州債券市場

5月の欧州(ドイツ)の長期金利は、ドイツの景気回復が緩慢であることは金利低下要因となるものの、エネルギー価格の高止まりを背景にインフレ懸念が継続することなどから、上昇すると予想する。エネルギー価格上昇に伴う財政支出拡大が懸念されることで、周辺国の対ドイツ国債スプレッドは高止まりを予想する。

外国株式

4月の米国株式市場

米国S&P500指数 ダウ工業株30種平均

4月の米国株式市場は、S&P500指数で10.42%の上昇となった。積極的なAI投資が継続するとの観測が強まるなか、好調な1-3月期決算発表や米国とイランの停戦・和平交渉の進展への期待などを背景に、月末にかけて一段高となり史上最高値を更新した。セクターでは、コミュニケーション・サービス、情報技術、一般消費財・サービスなどが上昇する一方、エネルギー、ヘルスケアが下落した。

4月の欧州株式市場

ドイツDAX指数 イギリスFT-SE(100種)指数

4月の欧州株式市場は上昇した。米国とイランの停戦・和平交渉の進展への期待は高く、米国市場に追随して上昇したが、エネルギー価格の高止まりなどが懸念され上値は重く、米国市場をアンダーパフォームした。国別では、フィンランド、オランダ、デンマークなどが上昇し、ノルウェーのみが下落した。セクターでは、情報技術、資本財・サービス、金融などが上昇し、エネルギー、コミュニケーション・サービス、ヘルスケアが下落した。

4月の香港株式市場

香港ハンセン指数

4月の香港株式市場は上昇した。米国とイランの停戦・和平交渉の進展期待や予想を上回る中国の第1四半期GDPが好感されたほか、AI関連銘柄の成長期待が継続するなか半導体銘柄を中心に上昇した。国別では、韓国、台湾、インドなどが上昇し、インドネシア、フィリピンが下落した。セクターでは、情報技術、資本財・サービス、素材などが上昇し、コミュニケーション・サービスのみが下落した。

5月の米国株式市場

5月の米国株式市場は、上昇を予想する。エネルギー価格の高止まりへの懸念はあるものの、米国経済は、減税政策などの政策支援を背景に底堅く推移し、半導体や資本財・サービスなどを中心としたAI設備投資関連や生産性向上が利益成長を支える展開が継続し、底堅い推移を予想する。

5月の欧州株式市場

5月の欧州株式市場は、上昇を予想する。中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の高止まりが経済に与える影響が懸念されるものの、ドイツを中心とした財政拡張政策に支えられて、底堅い推移を予想する。

5月の香港株式市場

5月の香港株式市場は、上昇を予想する。エネルギー価格の高止まりが経済に与える影響が懸念されるものの、中国政府は景気の安定化を図る姿勢を見せており、金融当局による緩和的な金融政策に支えられると見込んでいる。また、半導体などのAI設備投資関連の拡大などを背景に業績拡大が期待され、底堅い推移を予想する。

為替動向

4月のドル/円相場

為替(ドル/円)

4月のドル/円相場は、中東情勢の緊迫化をきっかけとしたエネルギー供給不安の長期化懸念などから、上昇する場面もあったが、政府・日銀による為替介入観測で下落した。

前半、米国とイランが一時的な停戦に合意したとの発表で、ドルが売られる展開となり、中旬には157円台半ばまで下落した。しかし、その後米国とイランの交渉は進展せず、トランプ大統領がイランの港湾封鎖が長期化するとの認識を示したことで、インフレ懸念などから円が売られ、160円台後半まで上昇した。しかし、月末に政府・日銀による為替介入観測で急落し、月末は156円台後半となった。

4月のユーロ/ドル相場

為替(ドル/ユーロ)

4月のユーロ/ドル相場は、米国とイランが停戦に向けた協議を始めたことなどからドルが売り戻される展開となり、月末は1.17ドル台前半となった。

4月のユーロ/円相場

為替(ユーロ/円)

4月のユーロ/円相場は、ユーロ高円安となった。ドルに対して円・ユーロは上昇したものの、ユーロの上昇幅が大きくなったため、ユーロ高円安となり、月末は183円台後半となった。

5月のドル/円相場

5月のドル/円相場は、中東情勢の不透明感はドル高要因となるものの、日銀による利上げ継続姿勢が円高要因になると予想することから、横ばいでの推移を予想する。

5月のユーロ/ドル相場

5月のユーロ/ドル相場は、欧米ともに金利は上昇を見込んでいることから、横ばいでの推移を予想する。

5月のユーロ/円相場

5月のユーロ/円相場は、横ばいでの推移を予想する。ドルは円・ユーロに対して横ばいで推移することから、ユーロ/円も横ばいでの推移を予想する。

虫眼鏡

夏の準備は5月から

ここ数年、夏が近づくたびに、少し身構えている自分がいます。

気象庁の3カ月予報によると、今年の夏も気温は高く、猛暑が続く見込みとのことです。そんな記事を目にすると、ああまた今年もかと、ちょっと緊張します。天気予報では最高気温が35度以上の日を「猛暑日」として注意を呼びかけていますが、気象庁は新たに40度以上の予報用語を定めることとし、広く一般にアンケートを実施しました。漢字1文字 + "暑日" が基本形で、候補には炎暑日や烈暑日など、聞いただけで体感温度が上がりそうな文字が並びます。激暑日や甚暑日などに至っては、もはや夏の暑さは災害級、といったところでしょうか。

暑さ対策といったものは、特になにもしていませんでしたが、ここ数年は少し考え方を変えてみました。どうやら夏の快適さは、初夏の過ごし方でかなり変わるようなのです。たとえば、エアコンの試運転。数年前の夏、いざエアコンを動かしたところ、どうも様子がおかしい。風は出るのに、いっこうに冷えません。フィルターを外してみると、ほこりが見事に積もっていました。掃除をしても改善せず、結局修理を頼むことになりましたが、真夏の時期だったため一週間ほど待つことになりました。それ以来、この時期になるとエアコンを一度動かしてみることにしました。ついでにフィルターも掃除しておきます。ほんのわずかな作業ですが、いざというときに慌てなくてすむと思うと安心感が違います。

同じように、体のほうも少しずつ準備を始めます。通勤時にひと駅分歩いてみたり、在宅勤務の日の朝は近所の河川敷をジョギングしてみたり。入浴も一工夫します。38〜40℃で10〜20分、ぬるめ長めに軽く汗ばむ程度まで入ります。血流・発汗機能が整うので、運動と同じ効果が一部あります。体に、汗をかく感覚を思い出させていく。季節に合わせて、自分の調子を整える感覚です。

最近、面白いと感じているのは「気分」で涼しくなる工夫です。

たとえば「色」です。人は視覚から受ける印象によって体感温度が変わると言われています。毎日使うコップを、青を基調としたものに変えてみました。気温は同じでも、どこか清涼感が生まれます。もう一つは「香り」です。ミントや柑橘系の香りには、すっきりした清涼感があります。特別な道具がなくても、ハッカ油を少し水に垂らしてスプレーにしてみたり、柑橘系の香りの石けんを使ってみたりするだけで、気分が少し変わります。暑い日にさっぱりした香りを感じると、それだけで気分が軽くなるから不思議です。

こうした「気分で涼をとる」という発想は、日本の伝統文化ともいえます。古くは平安時代、清少納言が枕草子において、夏の趣として「夜」「月」「闇夜の蛍」などを挙げていることはよく知られています。強い日差しの下で涼を求めるのではなく、むしろ感覚の働きによって暑さをやわらげるという発想が、すでにそこには見られます。

また俳諧の世界に目を向ければ江戸時代、松尾芭蕉はわずか十七音のなかに季節の気配を封じ込めました。水の音、蝉の鳴く声、風に揺れる柳、空に浮かぶ入道雲。そうしたものを言葉に写し取ることで、読む人の心に涼を呼び起こします。実際の気温とは別に、「感じられる涼しさ」が確かに存在することを教えてくれます。

エアコンや空調設備に守られている私たちと違い、昔の人たちは暑さそのものを消し去ることはできませんでした。だからこそ、音や光、香りといった五感を通して、暑さの受け取り方を変える術を磨いてきたのでしょう。暑さに対してただ耐えるのではなく、少し付き合い方を変えることで負担が軽くなる気がします。

気象庁のアンケートには「盛暑日」をいち推ししました。「暑い盛り」という語感に季節を感じます。夏のご挨拶に「盛暑の候 風鈴の音が涼を誘う今日この頃、いかがお過ごしですか」などなどとしたためてみるのも風情があるかと思います。そして新たな呼称は「酷暑日」と決まりました。アンケートで最多の支持を集め、有識者からの評価も高かったといいます。ネーミングの目的が、ひどい暑さへの注意喚起ということからすると納得です。

5月は、夏への助走のような季節です。本格的な暑さが来る前に、少しずつ心と体と身の回りを整えていく。毎年のように厳しくなっていく夏を前に、「準備を進めている」という感覚があるだけで気持ちはずいぶん違います。忙しい日常の合間に、そんな小さな支度を始めてみる——最近はそう思うようになりました。