主なポイント
29日より日銀金融政策決定会合が開かれます。今年1月に政策金利は0.5%に引き上げられましたが、市場では年度内の追加利上げが予想されています。先月の決定会合で2名の審議委員が利上げ提案を行ったことや、最もハト派と見られている野口審議委員が「政策金利調整の必要性がこれまで以上に高まりつつある」と述べたことから、今月の決定会合で利上げを決定する可能性が高まりました。先月末に発表された9月の決定会合における主な意見においても利上げに関する言及が増えており、今後の日銀高官の発言や日米の経済指標が注目されます。
今月の主なポイントは以下の通りです。
| 10/28 |
(米)FOMC(連邦公開市場委員会)(29日まで)・・・利下げの可能性 |
| 10/29 |
(日)金融政策決定会合(30日まで)・・・上記参照 |
| 10/30 |
(欧)ECB(欧州中央銀行)理事会・・・現状維持が見込まれる |
| 10月中旬 |
内閣総理大臣指名選挙・・・自民党新総裁の指名が見込まれる |
市場見通し
- 国内債券
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物価の上振れリスクの高まりなどを踏まえ、日銀が追加利上げを実施すると見込むことから、金利は上昇すると予想する。
- 国内株式
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想定を下回るトランプ関税を背景とした輸出関連企業の業績底打ち期待は、一旦株価に織り込まれたとみることから、小幅な下落を予想する。
- 外国債券
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<米国>インフレへの警戒感は金利上昇要因となるものの、米国の労働市場の悪化を受けてFRB(連邦準備理事会)が利下げを継続すると予想することから、金利は小幅低下を予想する。
<欧州>ドイツの財政拡大に伴う景気回復期待があるものの、米国による関税引き上げなどが欧州景気の下押し要因になるとみられることから、金利は横ばいでの推移を予想する。
- 外国株式
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<米国>7-9月期の企業業績は、金融や情報技術セクターなどを中心に増益が予想されており、FRBの利下げ再開にも支えられ上昇を予想する。
<欧州>トランプ関税による景気への警戒感が残るものの、ECBによる緩和的な金融政策や、ドイツを中心とした財政支出拡大による業績改善期待を背景に上昇を予想する。
- 為替市場
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FRBが利下げを継続することが予想されることや、日銀の追加利上げの実施が見込まれることから、ドルは対円で下落を予想する。FRBが利下げを継続する一方、ECBは政策金利を据え置くと予想することから、ユーロは対ドルで上昇を予想する。
出所:内閣府
国内債券
9月の国内債券市場
9月の国内長期金利は、日銀の追加利上げ期待が高まったことなどを受けて上昇し、1.645%で終了した。
国内長期金利は、米金利の低下などを受けて一時1.54%程度まで低下したが、月末にかけては、18~19日の日銀金融政策決定会合において利上げを支持する委員が複数名いたことにより、日銀の追加利上げ期待が高まったことで上昇し、1.645%で終了した。
イールドカーブについては、日銀の追加利上げ期待の高まりを受けて短期から長期ゾーンの金利が上昇した一方、20年債入札や30年債入札が強い結果だったことなどから超長期ゾーンの金利が低下し、ツイストフラット化した。信用スプレッドは、横ばいとなった。
10月の国内債券市場
10月の国内長期金利は、物価の上振れリスクの高まりなどを踏まえ、日銀が追加利上げを実施すると見込むことから、上昇すると予想する。10月の債券市場のポイントは、①国内債券市場の需給動向、②米国金利、③日銀の動向と考える。
①<国内債券市場の需給動向>10月の国債入札スケジュールとしては、10年債(2日)、30年債(7日)、5年債(9日)、20年債(15日)、2年債(31日)などが予定されている。4日の自民党総裁選挙後の与野党連立の動向や経済対策の動向など、国内政治を巡る動きや、日銀の追加利上げへの期待などが需給を左右するとみられ、幅広い年限で金利の変動幅が大きくなることが考えられる。
②<米国金利>米国金利について、市場は雇用市場の悪化懸念などから、FRB(連邦準備理事会)が、年末にかけて0.50%程度の利下げを行うことを予想している。他方、9月末時点のアトランタ連銀のGDP予測では、7~9月期の成長率は前期比年率+3.9%と、米国経済は底堅さを維持していた可能性もある。今後発表される経済指標の結果によって利下げの織り込みが変化し、米国長期金利の変動幅が大きくなり、国内金利に波及することが考えられる。
③<日銀の動向>10月は2日に内田副総裁挨拶、3日に植田総裁挨拶、16日に田村審議委員挨拶、17日に内田副総裁挨拶、20日に高田審議委員講演、21日に氷見野副総裁講演と、29~30日の金融政策決定会合に先駆けて、会合参加者が発言する機会が非常に多い。参加者の発言内容を受けて、日銀の追加利上げへの期待が変化することで、金利の変動幅が大きくなることが考えられる。
イールドカーブは、フラット化すると予想する。信用スプレッドは、横ばいを予想する。
国内株式
9月の国内株式市場
9月の国内株式市場は、月初の中国企業のAI向け半導体開発報道が関連銘柄の重荷となったものの、米国の雇用指標悪化を受けた利下げ期待の高まりや、米IT企業の大幅な業績拡大見通しなどから上昇基調が続き、日経平均株価で5.18%の上昇となった。
月初は、中国企業のAI向け半導体開発報道から過度な開発競争への懸念が高まり、AI関連銘柄が売られたが、9月期末の権利取りと思われる買いから高配当銘柄が上昇し、横ばい圏での動きとなった。中旬には、米IT企業が大幅な受注増を発表し、ハイテク関連株が反発したことに加え、米国の雇用指標悪化を背景とした利下げ観測の高まりや石破首相の辞意表明を受けた次期政権の財政支出拡大への期待から上昇した。下旬にかけても、日銀のETF売却発表による需給悪化懸念などから一時的に調整する局面はみられたものの、FRB(連邦準備理事会)の利下げ再開や米国での大規模なAI関連投資計画が好感され、上昇基調が続いた。業種別には、非鉄金属、鉱業、電機などが上昇し、海運、空運、保険などが下落した。
10月の国内株式市場
内需や防衛関連企業では堅調な業績推移が見込まれ、FRBの利下げ見通しは株価の下支えとなるものの、想定を下回るトランプ関税を背景とした輸出関連企業の業績底打ち期待は一旦株価に織り込まれたとみることから、小幅な下落を予想する。
月末に予定されている日銀の金融政策決定会合では、高い確率で利上げが見込まれている。利上げの場合は、金利負担の増加や金利スプレッド縮小による円高を背景とした業績悪化懸念から一時的に売られる可能性はあるものの、実質金利が大幅にマイナスの状態に変わりなく、FRBの利下げ見通しが続くなか、過度な警戒は不要と思われる。
10月上旬にかけて小売企業の6-8月期決算発表が集中する。実質賃金の減少傾向は続いているが、株式や不動産等一定の資産を持つ富裕層は資産価格上昇により購買力が増しており、全国的な最低賃金引き上げの動きも消費者マインドへプラスに働くだろう。厳しい競争環境から商品価格の値上げには慎重な企業が多く、足元の業績は楽観視できないものの、見通しについては増益基調が続くことを期待したい。また、下旬には主力企業の決算シーズンが本格化する。輸出関連企業の業績見通しは、トランプ関税の過度な織り込みに対する修正から7月以降に上方修正が続き、株価を押し上げる一因となっていたが、下半期にかけては来年度の利益見通しが意識される。米国では、関税政策の不透明感は残るものの、大幅な景気減速は見込まれておらず、今後は各社の新たなルールへの適応力と稼ぐ力が試されることとなるだろう。中国企業の競争力も大幅に上昇しており、来期以降は増益基調となるのか、決算発表に伴う各社の事業戦略に注目したい。
外国債券
9月の米国債券市場
9月の米国の長期金利は、労働市場の悪化などを背景にFRB(連邦準備理事会)が利下げを再開したことなどから、低下した。
月初、8月の雇用統計が弱い結果となると、FRBの利下げ期待が高まり、低下した。また、米PPI(生産者物価指数)が予想を下回ったことや、米CPI(消費者物価指数)が予想の範囲内であったことなどから、利下げ期待がさらに高まり、一時、4.0%程度まで低下した。その後は、FRBが利下げの再開を決定したものの、見通しについては利下げに慎重な姿勢が示されたことや、米国の底堅い経済指標などを受けて上昇に転じ、月末は4.1%台半ばとなった。
イールドカーブは、発行額の増加が当面予定されていない超長期債が買い戻される展開となり、フラット化した。
9月の欧州債券市場
9月の欧州(ドイツ)の長期金利は、米金利につれて低下した後、ECB(欧州中央銀行)の利上げ終了示唆などを受けて値を戻し、横ばい圏での推移となった。
月初、米国の雇用統計が弱い結果となり、米金利の低下につれてドイツの長期金利も低下した。中旬、ECBが政策金利の現状維持を決定したが、利下げの終了を示唆したことや、ドイツの第4四半期の発行計画で長期債が増額されたことを受け、緩やかに値を戻す展開となり、月末は2.7%台前半となった。
ドイツ国債のイールドカーブは、フラット化した。周辺国国債とドイツ国債の利回り差は、財政悪化と政治情勢の不透明な状況が懸念されるフランスが拡大する一方、イタリアやスペインは縮小した。
10月の米国債券市場
10月の米国の長期金利は、インフレへの警戒感は金利上昇要因となるものの、米国の労働市場の悪化を受けてFRBが利下げを継続すると予想することから、金利は小幅低下を予想する。
10月の欧州債券市場
10月の欧州(ドイツ)の長期金利は、ドイツの財政拡大に伴う景気回復期待があるものの、米国による関税引き上げなどが欧州景気の下押し要因になるとみられることから、金利は横ばいでの推移を予想する。ECBが量的引き締めを継続しているものの、国によって財政状況や格付けの見通しに差異が生じており、周辺国の対ドイツ国債スプレッドは国によって異なる動きになると予想する。
外国株式
9月の米国株式市場
9月の米国株式市場は、S&P500指数で3.53%の上昇となった。FOMC(連邦公開市場委員会)では予想通り利下げが実施され、さらなる今後の追加利下げ観測が高まったことに加え、AI関連の好材料が相次いだことで情報関連セクター中心に買いが広がり史上最高値を更新した。セクターでは、情報技術、コミュニケーション・サービス、公益事業などが上昇する一方で、素材、生活必需品、エネルギーなどが下落した。
9月の欧州株式市場
9月の欧州株式市場は上昇した。FRB(連邦準備理事会)が利下げを決定したことが好感されたほか、半導体株などのハイテク関連株が上昇し、相場全体を支えた。国別では、オランダ、アイルランド、スペインなどが上昇する一方、デンマーク、スイス、ドイツが下落した。セクターでは、情報技術、資本財・サービス、一般消費財・サービスなどが上昇する一方、生活必需品、エネルギー、コミュニケーション・サービスなどが下落した。
9月の香港株式市場
9月の香港株式市場は上昇した。米国の昨年12月以来の利下げに加え、中国政府の景気支援策への期待、米中関係の改善期待などに加え、米国同様にAI関連銘柄が買われて上昇した。国別では、韓国、中国、台湾などが上昇し、フィリピン、インドネシアが下落した。セクターでは、一般消費財・サービス、情報技術、コミュニケーション・サービスなどが上昇し、生活必需品が下落した。
10月の米国株式市場
10月の米国株式市場は、上昇を予想する。バリュエーションの割高感が警戒されるものの、7-9月期の企業業績は、金融や情報技術セクターなどを中心に増益が予想されており、FRBの利下げ再開にも支えられ上昇を予想する。
10月の欧州株式市場
10月の欧州株式市場は、上昇を予想する。トランプ関税による景気への警戒感が残るものの、ECB(欧州中央銀行)による緩和的な金融政策や、ドイツを中心とした財政支出拡大による業績改善期待を背景に上昇を予想する。
10月の香港株式市場
10月の欧州株式市場は、上昇を予想する。トランプ関税による景気への警戒感が残るものの、ECB(欧州中央銀行)による緩和的な金融政策や、ドイツを中心とした財政支出拡大による業績改善期待を背景に上昇を予想する。
為替動向
9月のドル/円相場
9月のドル/円相場は、自民党総裁選をめぐる不透明感などから方向感に欠ける場面もあったが、月末にかけては米国の底堅い経済指標などを受けて上昇した。
月初、8月の米雇用統計が弱い結果となると、FRB(連邦準備理事会)の利下げ期待が高まり、米国の長期金利が低下したが、石破首相が退陣を表明したことで日銀の金融政策の不透明感が高まったことから、方向感に欠ける展開となった。その後は、FRBが利下げの再開を決定したものの、見通しについては利下げに慎重な姿勢を示したことや、米国の底堅い経済指標などを受けて上昇に転じ、月末は147円台後半となった。
9月のユーロ/ドル相場
9月のユーロ/ドル相場は、米国金利の低下などからドルが売られる展開となり、月末は1.17ドル台半ばとなった。
9月のユーロ/円相場
9月のユーロ/円相場は、ユーロ高円安となった。ドルに対して円は下落、ユーロは上昇したことから、ユーロ高円安となり、月末は173円台半ばとなった。
10月のドル/円相場
10月のドル/円相場は、FRBが利下げを継続することが予想されることや、日銀の追加利上げの実施が見込まれることから、ドル/円は下落を予想する。
10月のユーロ/ドル相場
10月のユーロ/ドル相場は、FRBが利下げを継続する一方、ECB(欧州中央銀行)は政策金利を据え置くと予想することから、ユーロ/ドルは上昇を予想する。
10月のユーロ/円相場
10月のユーロ/円相場は、下落を予想する。ドルは円・ユーロに対して下落するが、円に対する下落幅の方が大きくなるため、ユーロ/円は下落を予想する。
虫眼鏡
どんど焼き*
今年のどんど焼きの当日は快晴でした。
午後1時に、どんど焼きの会場である地域の小学校の校庭に、和太鼓の音が響き渡りました。市長さんや教育長さん、校長先生、市役所の担当者、ボランティアの協力団体の方、そして、辰年生まれでじゃんけんに勝った来場者の方も含めて、12名が点火をするためにやぐらの周りに集まりました。各々が点火用の長い竿を持っています。竿の先端に括り付けた油のしみた布にスタッフが火をつけます。
「点火!」という掛け声がかかると12名がいっせいに木と竹でできた大きなやぐらに長い竿で火をつけます。和太鼓の音がひときわ大きくなり雰囲気を盛り上げます。
井形に材木を組んだやぐらには、大勢の来場者が持ち寄った、お正月飾りや、お守り、だるまなどがたくさん入っています。それらは、火が燃え上がりやすいように、畳表にくるまれています。そのほか、良く燃える竹がくべられ、やぐらの真ん中には、20メートルを超えるほどの高さの青竹がそびえ立ち、枝葉もたっぷりついています。
点火すると畳表が燃えはじめ、あっという間に、やぐらの真ん中にそびえ立つ青竹のてっぺんを目指し火が駆け上がります。大きな火です。竹の枝葉や畳表がパチパチ燃え、煙や灰がもうもうと上がります。見る角度によっては、火をまとう竜のように見えます。やくらの土台の木材が燃え始めると、お正月の寒空の下なのに凄く熱い。「もう少し、やぐらから離れましょう」というスタッフの声に、やぐらの周りで見ている来場者たちは後ずさりします。やがて、バーン、バーンという大きな音が会場に響きます。竹が爆発する音です。
一年のはじめにどんど焼きで、大きな音を聞き、大きな火に照らされ煙に触れると、一年間無病息災、家内安全で過ごせると古来信じられてきました。縁起が良くなるのです。
会場に設置されたかまどでは、ボランティアのお母さんや中高生が、アルファ米、みそ汁、お汁粉を作り、笑顔で振舞います。来場者全員にお餅も配られます。
やぐらが燃え崩れ始めると、揃いの法被(はっぴ)を着たスタッフのお父さんたちが3メートルもある自作の鉄の熊手で、火をかき、熾火(おきび)を作り始めます。見事な手際で絵になる光景です。
熾火ができると、子供たちは、針金でお餅を竹竿の先に括り付け、釣りをするように熾火の上にたらして焼きます。何の味付けもしないこのお餅をとても美味しいと子供たちは言います。
市から補助金が出ているほか、来場者の寄付、地元の方々からの協賛金によって、どんど焼きは支えられています。和太鼓は地元の団体の厚意による演奏。畳表は地元の畳やさんの寄付。竹は近隣の竹林所有者が全面的に協力してくれています。やぐらの土台になる木材(廃材)は、最近では入手しにくくなって、新潟に住む協力者が遠路運んでくれたものです。
およそ1,000人の来場者に対し、当日のスタッフは100名ほど。大きな火を燃やすので、消防署や消防団の方が消防車で来場し万一に備えています。その他、市役所、交通安全協会、防犯協会、シルバー人材センター、学校の先生、PTAや親父の会など、多くの団体やボランティアが協力してくれています。近隣の中学や高校からは生徒さんたちが手伝いに来てくれていますし、大学生のボランティアもいます。かつては、会場となっている小学校の児童として参加していた男の子が、いまでは立派な社会人になって、実行委員に名を連ねています。
この小学校におけるどんど焼きは、2001年に田無市と保谷市が合併して、西東京市ができた年に始まりました。当時、保谷市ではどんど焼きが行われていたのですが、田無市では行われておらず、合併を機に田無でもはじめませんかというお誘いがありました。その時に、好奇心旺盛なお母さんがやり方を聞きに行き、田無でもはじめたのです。今は亡きそのお母さん(「どんど焼きの母」と呼ばれています)がまわりのみんなを巻き込んで、このような立派な行事を行えるようにしました。
どんど焼きを立ち上げた初期のメンバーたちはこのように言います。「どんど焼きをうまく行うことが、実行委員会の目的ではない。どんど焼きを行うことを通じて、もっと大きな本当の目的を達成するために、多くの人が協力してくれているのを忘れてはいけない」。
そのような想いを胸に実行委員会では来年の準備をしています。
*印:どんど焼きとは、縁起を良くするためにお正月に行われる火祭りで、古くから日本各地で行われている伝統的な行事です。