■買取りサービスの誇大広告問題
今年の5月、日経新聞を読んでいると、買取りサービスの広告に関する記事が目に留まりました。そこには、消費者庁が景品表示法の運用基準を見直し、買取りサービスが規制対象となったこと、また実態調査によると問題となりうる広告表記として、「どこよりも高く買取り」「買取り価格保証」「何でも買取り」「買取り価格アップ」(実際よく見ます)などがあり、そうした表記を5割以上の消費者が参考にしていることなどが書かれていました。それまでに何社か買取り業者と取引をした(しようとした)経験のある私ですが、「この“5割以上の消費者”とは、正に自分のことだ・・・」と頷いてしまいました。
■断捨離が必要に
個人的なことですが、来月自宅の引越しを控えています。一軒家からマンションに移ることとなったため、問題となるのが居住スペースが狭くなること、つまり持ち物を減らす必要があることです。我が家の押入、天袋、屋根裏、物置は使わない物たちで一杯であり、不要な家具(大型の座卓、衣装ケース、着物箪笥など)も普通に部屋の一角を占めているという状態で、引越しまでにどうやって処分していったら良いのだろう、仏壇だって持っては行けないし、などと年明け頃から頭を悩ませていました。
■買取り業者よくある手口
とりあえず粗大ごみを出していこうと自治体のインターネット受付を見ていると、そこに「粗大ごみを出す前に、リユース(再利用)を検討してみませんか?」とお知らせがあり、いくつかの業者のリンクが張られていました。導かれるように「一度に複数の業者の買取価格を比較し売却できるサービス」というところに入り、邪魔な座卓と衣装ケースを「一括査定」に出してみました。確かに複数の業者から買取り価格が提示され、期待を込めて最も高い価格を提示している業者を選んで来てもらいました。すると、「この2点は引取るのに費用として●万円かかります。貴金属やブランド品などあればそれを買取り、不用品は引取ります」とのこと。えっ?と思いましたが、「お金を払うくらいなら」と、今では身に付けていないプラチナの指輪4つを出しました。業者はそれを見るとすぐさま「引き取り費用●万円を引いた買取り価格」を提示し、結局その場で現金を受け取り、不用品は指輪と共になくなりました。
以前、ある所から「使わないお皿一枚でもいいから売って欲しい」と家に電話があり、言われた通り皿を出すと「貴金属類はないか」と言われ、皿は関係ないのだとわかった経験がありました。似たような事だった、そして何より「損をしたのではないか?なぜあの価格だったのか?」と気になり、一応嘘は言わないと信用している買取り屋のおじさん(仮称)のショップを訪れました。スマホに収めておいた指輪の画像を見せて、いくら位になるか聞きたかったのです。結果としては、「重量とプラチナ相場を基に査定すれば、もっと手元に残ったのではないか」ということでした。不用品を処分したいばかりに、根拠のわからない金額で指輪を売ったのは間違いだったと反省しました。ちなみに、そのおじさんを一応信用しているというのは、故人のネックレスなどを何点か持ち込んだ際のエピソードがあります。材質を確認するため、1つずつ磁石に近づけたり、水を張った特殊な容器の中に沈めたりなど理科の実験のようなことをしている様子を傍らで見ていて、仕事振りは信頼できるとの印象を持ちました。結局買取ってもらえたのは14金と判明した1点のみでしたが。現実は厳しいですねと話していると、「買取り業者というものは、売却できることを前提に儲けが出る値段でしか買わない」という、当たり前のことを教えてくれました。「むしろ買い手さえつけば、フリマサイトを使った方が一般的には高く売れる」とも言っていました。
おじさんはネットオークションも活用しているそうで、名刺サイズの「純金カレンダー」を家で発見し持って行った時には、サイトで同じ品物が出品されている画面を出して見せ、「ここでは、●●円で売りに出されています。仮に出品するとして、その手間代とサイトに支払う手数料(売却代金の一部)を引いた価格として▲▲円になります」と言いました。ある意味手の内を教わった気がしましたが、さすがにこれのために自分がオークションに参戦するのは面倒なので、提示された価格で売りました。
■フリマアプリで痛い目に
フリマアプリを導入し、各所にしまい込んでいる物を売ってみることにしました。フォーマルなハンドバッグやブランド品のカードケース(もらい物)、クーラーボックス、リュックサック、トレンチコート(古くてもブランド)、ティーカップとソーサーのセット、変わった物ではレトロな鎌倉彫の文具箱や1970年大阪万博の時の各国パンフレット類(発掘品)などが売れました。ただ、アプリの画面を度々チェックしていると、いつの間にか稼いだお金で出品されている別のものを買う(逆に物を増やしている)という事態になりました。
それはともかく、一度も使っていないと記憶している「卓上炙り焼きコンロ」を出品した時は、大変なことになりました。かなり多くの関心(所謂いいね!の数)を集めた上、希望価格で売れ喜んでいたところ、商品を受け取った買い手から、「使用した形跡があり、未使用というのは嘘だった。返品を希望する。」とクレームが寄せられました。驚いてお詫びの返信をし、その後も過失であり故意ではないと訴えるも、激しい怒りのメッセージが止まることなく返ってきました。数日間、落胆と箱の中身を確認しなかったことへの後悔を引き摺りましたが、結局、アプリの事務局の力を借りて取引はリセットされ、解決しました。それ以来アプリへの関心は薄れ、積極的に出品することはやめてしまいました。
フリマアプリに関しては、自分の売りたい値段で売れるかもしれないけど、素早く不用品を片付ける手段ではないなと経験から学びました。
■買取り業者への接触を続けて
インターネットで「〇〇(←売りたい物)買取り」と検索すれば、多くの業者が出てきます。仕事を引退した夫のビジネススーツやジャケットを安くてもいいから処分したいと思い、業者に出張査定に来てもらいましたが、さっと10数点見ただけで、「買取りできません。ブランド品ではないので」と10分位で帰って行きました。「有名ブランドじゃなくてもOK」って書いてあったのに。腕時計なども提示された価格にがっかりしていると、業者に言われました。「買った値段に関係なく売る時には殆ど価値がない。」だと。
絵画も悩みの種で、美術品専門だという業者を見つけ、有名画家のものを含む作品を数10点まとめて査定してもらいました。交渉の末売却に至り、余裕で引越し代になるくらいの現金が手に入りましたが、何故か嬉しい気持ちになれませんでした。その後考え直し、人生初のクーリングオフをしました。そのような品物を1社でしか聞かなかったのも気になったのですが、それよりも気に入っていた作品まで無くなってしまったことに喪失感を覚えたからです。何を売るのか事前に意思を固めておくのも大事なことでした。
■仏壇はどうするのか?
上場企業である大手業者には、故人の着物類の買取りを依頼しました。着物10枚と帯6枚でわずか1,000円にしかなりませんでしたが、傷んだ生地でもリユースしてもらえるならと、捨てるよりずっと気持ちが楽になり、これは満足でした。ついでに仏壇を売ることはできるのかと聞いたところ、グループ傘下の業者を紹介するが、買取りではなくお坊さんに供養してもらってから引取りとなり、逆に「費用」がかかるとのことでした。もとは高価な物なのにと思い、インターネットで検索して出てきた業者に見に来てもらいました。担当者は、その場で仏具等を扱う数社に情報を流して買取り価格を提示させ、その中から買い手を確定して、仏壇供養の費用を差し引いた価格を提示すると言いました。しかし買い手は現れず、「昨今は小型の仏壇ならまだ売れるが、サイズが大きいと難しい」と言い、大手業者に聞いた費用よりもっと高い金額を提示してきました。大手の話は概ね正しかったのだろうと思い、お断りしました。仏壇仕舞いにはお金がかかります。
■自宅までも・・・!
恥ずかしいことに、1か月前には、飛び込みで来た不動産業者にあっさり自宅を売却しようとしていました。これは契約の寸前でキャンセル。まずは大手に相談してみなさいと親族に止められ、何もすぐに売りたいわけではなかったと気が付いた次第です。売却はしませんと相手に伝えると態度が一変し、私と夫それぞれに何度も電話がかかり、理由を聞いてくるのには唖然としました。基本、夫と2人で対応しているのですが、どうも感じの良い相手だとすぐに信じて即決というパターンになります。気を付けても同じことをまた繰り返すのかもしれません。
■最後に
買取ってもらえないとわかると、捨てるか途上国の支援活動に使ってもらう(小物や衣類等を活用しているNPO法人には何箱も送っています)という道が開けます。粗大ごみも出し続け、大型の家具等は有料の不用品回収で処分する方向です。まあ今となっては、引越し後でもまた来てやれば良いかとハードルを下げています。片付けも必要に迫られてやらざるを得ませんが、要らない物ばかりでなく発見して嬉しい物もたまに出てきます。このところは、何を捨てるかに集中して作業している時間も、意外と貴重で充実した時間だと感じています。
以上、失敗事例を並べるばかりとなりましたが、最後までお読みいただいた皆さまには、物の処分を考える時のご参考になればと存じます。