主なポイント
今月は主要中央銀行の金融政策決定会合が開かれます。欧州では利下げが見込まれる一方、米国では今回の利下げサイクルでは初めて政策金利が据え置かれる見込みです。日本では、12月の日銀金融政策決定会合で政策金利は据え置かれ、会合後の記者会見で植田総裁は、「次の利上げの判断に至るにはもうワンノッチ欲しい」と述べ、利上げ時期が近いものの追加のデータを待っている状況を示しました。同時に米国のトランプ次期大統領の政策についても不確実性が大きいとしており、決定会合が米大統領就任式の直後であることから、本会合での判断が注目されます。
1/20 |
(米)大統領就任式・・・トランプ氏就任初日の動きに注目 |
1/23 |
(日)金融政策決定会合(24日まで)・・・上記参照 |
1/28 |
(米)FOMC(連邦公開市場委員会)(29日まで)・・・利下げは見送りか |
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(欧)ECB(欧州中央銀行)理事会・・・利下げが見込まれる |
市場見通し
- 国内債券
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日銀による追加利上げ観測から、金利は上昇すると予想する。
- 国内株式
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外需関連企業の業績下振れリスクは低く、内需関連企業も増益基調が続くだろう。バリュエーションに割高感はなく、上昇を予想する。
- 外国債券
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<米国>米国の雇用鈍化を受けてFRB(連邦準備理事会)の利下げ期待は継続すると見込むことや、足元の金利急上昇の反動などから、金利は小幅な低下を予想する。
<欧州>欧州の景気低迷を受けたECBの追加利下げ観測などから、金利は小幅な低下を予想する。
- 外国株式
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<米国>米国経済が堅調に推移するなか、情報技術セクターを中心に増益が見込まれており、上昇を予想する。
<欧州>中国の財政政策や緩和的な金融政策による企業業績の拡大期待に加え、インフレ鈍化によるECBの追加利下げが支えとなり上昇を予想する。
- 為替市場
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FRBの利下げ期待が継続することや、日銀が追加利上げを実施すると見込むことから、ドルは対円で下落すると予想する。FRB、ECBともに利下げを継続すると想定されるものの、ECBの利下げ観測が高まりやすいことなどから、ユーロは対ドルで下落すると予想する。
出所: Bloomberg
国内債券
12月の国内債券市場
12月の国内長期金利は、日銀による追加利上げ観測が後退したものの、米国金利の上昇や来年度の国債発行計画を巡る思惑などから上昇し、1.090%で終了した。
国内長期金利は、各種報道を受けて、日銀による12月の金融政策決定会合における追加利上げ観測が後退するなか、1.0%台前半まで低下した後、米国金利の上昇などから、上昇するなど、1.0%台でもみ合う展開となった。その後、18~19日開催の日銀金融政策決定会合において、現行の政策金利を維持することが決定されたことや、植田総裁が追加利上げに対して慎重な姿勢を示したことなどから、低下する場面もあったが、月末にかけては、来年度の国債発行計画を巡る思惑や、株価上昇などから一時1.105%まで上昇し、月末は1.090%で終了した。
イールドカーブについては、相対的に中期・長期ゾーンの金利上昇幅が大きくなり、フラット化した。信用スプレッドは、横ばいとなった。
1月の国内債券市場
1月の国内長期金利は、日銀による追加利上げ観測から、上昇すると予想する。1月の債券市場のポイントは、①日銀の動向、②米国金利の動向、③国内債券市場の需給動向と考える。
①<日銀の動向>植田総裁が、12月の金融政策決定会合後の講演においても、米国の次期政権の経済政策や春闘の動向を見極めていきたいといった追加利上げに対して慎重な姿勢を改めて示すなか、市場では1月会合での追加利上げの織り込みが進みづらい状況となっている。但し、1月会合に向けては、9日に日銀支店長会議、14日に氷見野副総裁の講演などが予定されており、その内容によっては、追加利上げ観測が高まり、金利上昇圧力がかかる展開になることも想定される。
②<米国金利の動向>米国では、12月に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)において、0.25%の利下げが決定された一方で、2025年の利下げペースの減速が示された。今後発表される雇用統計などの経済指標の結果によっては、金融政策の見通しを巡る思惑から、米国長期金利の変動幅が大きくなり、国内金利に波及することが考えられる。
③<国内債券市場の需給動向>1月の国債入札スケジュールとしては、10年債(7日)、30年債(9日)、20年債(16日)、40年債(21日)などが予定されている。まずは、今月最初の超長期債の入札として9日に実施される30年債入札において、投資家による買い需要が確認できるかが注目であり、結果によっては金利が大きく変動する可能性も考えられ、注意が必要である。
イールドカーブは、フラット化すると予想する。信用スプレッドは、横ばいで推移すると予想する。
国内株式
12月の国内株式市場
12月の国内株式市場は、日米中銀の金融政策の見通しに不透明感が漂うなか、一進一退の展開が続いたが、円安進行による外需関連銘柄の業績改善期待の高まりに加え、業界大手の経営統合協議などが報じられた輸送用機器セクターが大幅に上昇し、日経平均株価で4.41%の上昇となった。
上旬は、日銀の利上げ観測やAI関連市場拡大の思惑により金融やインフラ関連銘柄が上昇し、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の利回り目標引上げ報道も株式相場を支えた。中旬には、米CPI(消費者物価指数)発表後に12月のFOMC(連邦公開市場委員会)での利下げ観測が高まり一段高となったものの、日銀の利上げ観測は徐々に後退し、円安進行による物価高への懸念や、トランプ次期政権の関税政策への不透明感が意識され、下落に転じた。下旬にかけては、業界大手の経営統合協議などが報じられた輸送用機器セクターが大幅に上昇し、期末の権利取りと思われる高配当銘柄などへの買いも相場を支えたことから、上昇した。業種別には、輸送用機器、海運、その他製品などが上昇し、電気・ガス、陸運、医薬品などが下落した。
1月の国内株式市場
中国需要の低迷や米国による関税強化への懸念はあるものの、堅調な米国経済を背景に外需関連企業の業績下振れリスクは低く、内需関連企業も設備投資や消費の拡大から増益基調が続くだろう。バリュエーションに割高感はなく、上昇を予想する。
1月20日の就任式でのトランプ次期大統領の発言や、多数の発令が報じられている大統領令の内容が注目される。関税強化に向けた動きは懸念材料だが、インフレに配慮した経済政策が示されれば、株式市場にとって好材料と成り得るだろう。また、その後の日銀の金融政策決定会合で追加利上げが決定された場合は、円高圧力の高まりにより外需関連企業の業績見通しが悪化することが想定される。但し、会合の内容によっては市場関係者がその後の利上げ余地が乏しいと判断し、円安が一段と進行するリスクには留意したい。
12月下旬から9-11月期の小売企業の決算が始まり、売上高は値上げやインバウンド需要の伸びから概ね堅調に推移しているものの、日用品を扱う企業などで利益の伸びが小幅に留まっている。選別消費の流れが続き、コスト上昇に対する一層の価格転嫁は難しくなりつつあるが、足元の実質賃金の改善傾向を背景に、増益基調は維持されることを見込む。一方、1月下旬から本格化する主力企業の10-12月期決算では、対会社計画比で円安傾向が続いたことなどから、業績はやや上振れることが想定される。トランプ次期政権による関税リスクはあるものの、企業の設備投資意欲は引き続き強く、機械セクターでは受注水準がボトムに達した分野も散見されることから、見通しについて過度に悲観的になる必要はないだろう。また、需給面でも新NISA制度の2025年非課税投資枠の適用が始まり、新たな買い需要が相場の支えとなることを期待したい。
外国債券
12月の米国債券市場
12月の米国の長期金利は、トランプ次期政権の政策への思惑や、底堅い米国の経済指標を受けてFRB(連邦準備理事会)の利下げペースの減速が示されたことなどから、上昇した。
前半、前月にトランプ次期政権下における財政悪化懸念の後退で金利低下した反動や、底堅い米国の経済指標を受けて、緩やかに上昇基調となった。FRBは事前の予想通り利下げを実施したが、経済成長やインフレの見通しを引き上げたほか、2025年以降の利下げペースの減速を示したことで、上昇幅は拡大した。後半は、クリスマス休暇前後の薄商いのなか高水準で推移し、月末は4.5%台後半となった。
イールドカーブは、米国景気の底堅さが意識されたことで、スティープ化した。
12月の欧州債券市場
12月の欧州(ドイツ)の長期金利は、ECB(欧州中央銀行)が利下げペースの加速には慎重な姿勢を示したことや、米国の長期金利の上昇を受けて上昇した。
前半、米国の底堅い経済指標などを受けて、米国の長期金利が上昇すると、欧州の長期金利にも上昇圧力がかかった。中旬、ECBが利下げを実施し、欧州景気の下振れリスクに警戒する姿勢を示したものの、利下げペースの加速には慎重な姿勢を示したことなどから、上昇幅を拡大した。後半にかけては、米国金利の上昇などから高水準での推移が続き、月末は2.3%台後半となった。
ドイツ国債のイールドカーブは、スティープ化した。周辺国国債とドイツ国債の利回り差は、イタリアなどを中心に小幅に縮小した。
1月の米国債券市場
1月の米国の長期金利は、米国の雇用鈍化を受けてFRBの利下げ期待は継続すると見込むことや足元の金利急上昇の反動などから、小幅な低下を予想する。
1月の欧州債券市場
1月の欧州(ドイツ)の長期金利は、欧州の景気低迷を受けたECBの追加利下げ観測などから、小幅な低下を予想する。ECBが量的引き締めを継続していることや、一部の国の財政悪化などが懸念されるものの、ECBによる利下げ継続が予想されることから、周辺国の対ドイツ国債スプレッドは横ばいで推移すると予想する。
外国株式
12月の米国株式市場
12月の米国株式市場は、S&P500指数で2.50%の下落となった。上旬は、雇用統計の結果を受けFRB(連邦準備理事会)による12月会合での利下げ期待が高まったことから上昇し、史上最高値を更新した。その後、FOMC(連邦公開市場委員会)では市場予想通り利下げが行われたものの、今後の利下げ回数の見通しが減少するなどタカ派的な結果となり、長期金利上昇による景気減速懸念から、下落した。セクターでは、コミュニケーション・サービス、一般消費財・サービス、情報技術が上昇する一方、素材、エネルギー、不動産などが下落した。
12月の欧州株式市場
12月の欧州株式市場は下落した。中国政府による景気刺激策に対する期待などを背景に中旬までは上昇基調で推移した。その後は、FOMC後に米国株式市場が大きく下落したことやデンマークの大手製薬企業が発表した治験結果が失望され大幅安となったことなどから、下落した。国別では、オーストリア、アイルランド、イタリアなどが上昇する一方、デンマーク、ポルトガル、ノルウェーなどが下落した。セクターでは、情報技術、一般消費財・サービス、金融が上昇する一方、不動産、ヘルスケア、コミュニケーション・サービスなどが下落した。
12月の香港株式市場
12月の香港株式市場は上昇した。上旬は、中国政府による金融緩和などを含む景気支援策を巡って、一時的に大きく上昇した。その後は、FOMC後の米国株に連れ安する局面もみられたが、下旬にかけては、消費促進などを目的とした中国政府による特別国債の発行計画が伝わると、景気支援策への期待などから底堅く推移した。
1月の米国株式市場
1月の米国株式市場は、上昇を予想する。トランプ次期政権による政策や1月中旬から始まる10-12月期の企業決算の動向によりボラティリティの高まる局面が想定されるが、米国経済が堅調に推移するなか、情報技術セクターを中心に増益が見込まれており、上昇を予想する。
1月の欧州株式市場
1月の欧州株式市場は、上昇を予想する。ドイツを中心に製造業の低調な推移が続くなか、トランプ次期政権の政策により、経済の先行き不透明感が強まっているほか、ドイツやフランスの政局混迷が重石となるものの、中国の財政政策や緩和的な金融政策による企業業績の拡大期待に加え、インフレ鈍化によるECB(欧州中央銀行)の追加利下げが支えとなるだろう。
1月の香港株式市場
1月の香港株式市場は、上昇を予想する。中国経済は、景気支援策の効果が一部にみられるものの、低調な推移が継続している。また、米国次期政権による政策が懸念ではあるものの、中国当局は、金融政策のさらなる緩和、財政赤字の拡大、株式・不動産市場の安定化に向けた取り組みなどを示唆しており、景気支援策への期待が支えとなるだろう。
為替動向
12月のドル/円相場
12月のドル/円相場は、米国の長期金利が上昇したことや、日銀の追加利上げ観測が後退したことなどから、上昇した。
前半、底堅い経済指標を受けて、米国の長期金利が上昇基調となったことや、日銀が追加利上げを見送るとの観測などから、緩やかに上昇基調となった。中旬、日銀が事前の予想通り追加利上げを見送ると共に、1月会合でも利上げを行わない可能性が意識されたことで、上げ幅を拡大した。FRB(連邦準備理事会)の来年以降の利下げペースが減速するとの観測から、米国の長期金利が上げ幅を拡大したことも上昇要因となった。月末まで高値圏での推移が続き、月末は157円台前半となった。
12月のユーロ/ドル相場
12月のユーロ/ドル相場は、欧州景気の弱さが意識されるなか、下落し、月末は1.03ドル台半ばとなった。
12月のユーロ/円相場
12月のユーロ/円相場は、ユーロ高円安となった。ドルに対して円・ユーロは下落したものの、円の下落率が大きくなったためユーロ高円安となり、月末は162円台後半となった。
1月のドル/円相場
1月のドル/円相場は、FRBの利下げ期待が継続することや、日銀が追加利上げを実施すると見込むことから、ドルは下落すると予想する。
1月のユーロ/ドル相場
1月のユーロ/ドル相場は、FRB、ECB(欧州中央銀行)ともに利下げを継続すると想定されるものの、ECBの利下げ観測が高まりやすいことなどから、ユーロは下落すると予想する。
1月のユーロ/円相場
1月のユーロ/円相場は、下落を予想する。ドルは円に対して下落するが、ユーロに対して上昇となるため、ユーロ/円は下落を予想する。
虫眼鏡
観光列車の旅
数十年前、某アーティストのファンで、全国色々なところにライブを観に行きまくっていました。若い頃なので、時間はたくさんありますが、お金はあまりありません。友人と色々話しながら、時間はかかっても安い移動手段を探すのが楽しかった、という思い出があります。飛行機が苦手だったこともあり、電車移動が主でした。まだ北陸新幹線が開通していないときだったので、『サンダーバード』や今はなくなってしまった『特急はくたか』などをよく利用していました。新幹線よりも遅いですが、景色がしっかり見えるくらいの速度での移動。普段見ない景色を見つつ、のんびりボーっとしながら移動するのが、何より楽しかった記憶があります。
その後、就職して時間がなくなり、でもお金の余裕は少しできたとなると、早く目的地に着いて、そこでの時間を有効に使いたいと思うようになりました。結果、金額が高くても早い移動手段を選ぶようになり、のんびりと車窓を楽しんでゆっくり旅をするということはなくなってきました(新幹線でも十分車窓は楽しんでいますが)。
そんな、仕事にも慣れてきた頃、会社の女性の方たち数名と「みんなでどこかに行きたいね」という話になり、伊勢神宮に参拝、赤福本店で食事、松坂でおいしいすき焼きを食べる、という満腹な旅行の計画をしました。昔、電車で全国各地に行った知識があったので、「朝9時頃に東京を出ても昼くらいには着きますよ。伊勢神宮には名古屋から近鉄特急が出ているから、それ乗ればすぐ行けます」と移動手段と伊勢付近の地理の話しをしただけで、まったく旅行の計画等はお任せしてしまいました。旅の予定をたてるのを以前は楽しみにしていたのに、丸投げでした。「特急の予約とれました」、「すき焼きのお店予約できたよー」。ランチの時間にみんなで報告をしあいながらも、その輪の中にあまり加わらず、うわの空。結局、待ち合わせの時間しか知らない状況で当日を迎えてしまいました。今思い返しても、失礼なことをしたなと反省しております。
名古屋に着き、近鉄線乗り場まで案内している途中、「何号車?」と確認したら「和風個室です」と言われたとき、「えっ?和風個室って何?」と聞き返してしまいました。予約してくれていたのは『観光列車近鉄特急しまかぜ』。観光列車と名前がついているだけあって、普通の座席(プレミアムシート)のほかに和風個室、洋風個室、サロン席、カフェ車両などありますが、1便に2部屋しかない和風個室の、尚且つ倍率の高い休日の予約を頑張ってとってくれたことを、その時初めて知りました。名古屋駅に粉雪が舞うすっきりしない天気でしたが、和風個室は部屋も広く、窓も大きく、掘りごたつ式なので足も伸ばせ、食事をして話をしながら車窓を楽しみました。1時間弱の乗車でしたが居心地がとてもよくて、みんなで「このまま終点まで行きたいね、まだ乗っていたいね」と話すほどの、とても快適で素敵な時間を過ごせました。
それからというもの、あの時間をもう一度・・・またあのような列車に乗ってみたい、という思いで、旅行先や観光地ではなく、「まず観光列車や特別列車を探す。乗りたい列車ができてから目的地を決める。」ということをするようになってしまいました。
近畿日本鉄道は観光列車の種類が豊富で、関西方面では、奈良に行くときは『近鉄特急あをによし』、大阪から帰ってくるときは、わざわざ『近鉄特急火の鳥』で名古屋に出てから東京に帰ってきたりしていました。
コロナ禍が落ち着いてきた最近、インバウンドで海外からの旅行客が多くなり、休日の特急の予約はとりにくくなっていますが、全国には色々な観光列車や特別列車があります。関東近郊でも今はたくさん素敵な観光列車も走るようになってきましたし、お食事ができるレストラン列車など、色々あります。時間があったら「のんびり車窓を楽しむ旅」、とても素敵だと思います。観光地などの目的地を楽しむだけじゃなくて、移動自体も楽しめたら、それは素敵な旅になると思います。
私の次の目標は、『近鉄特急青の交響曲』に乗ること。大阪から奈良吉野間の特急列車なので、行くならやっぱり吉野山千本桜の時期かしら(混んでそうですが)と、今から色々考えてすごしています。(なんだか近鉄特急びいきになっているなぁ)
そういう妄想時間を含め、楽しみながらこの冬をのり超えたいと思っております。