レポート

2021年1月-Vol.296

まとめ

今月のポイント

新型コロナウイルスの新規感染者数は引き続き増加しており、世界全体の感染者数は累計で8,500万人を突破、それによる死者数も180万人を上回っています。1日あたりの新規感染者数(7日平均)が一時20万人を上回っていた米国は、制限措置がとられて一旦減少したものの、足元では再び増加しています。欧州各国については、11月前後からの厳しい制限措置の導入により、フランス、イタリアなどは減少傾向になる一方で、感染力がこれまでより強い変異種が確認されている英国では、生活必需品以外の小売店を閉鎖するなど厳しい制限を課していますが、増加傾向に歯止めが掛かっていません。ユーロ圏の経済活動に対する影響も大きくなっており、10-12月期のユーロ圏のGDPは再びマイナス成長に転じると見込まれています。相対的にアジア・オセアニア地域は総じて落ち着いていますが、一部の国では感染者が増えています。その一つである日本は、Go Toなどの停止が遅れ、国民の行動もあまり変化がなかったことで増加傾向が続き、前回ほど厳しい措置ではないものの、1都3県で「緊急事態宣言」が再発出される見通しとなっています。こうした状況下、米国や英国など一部の国では医療従事者等へのワクチン接種が開始されています。とはいえ、集団免疫と呼ばれる状態になるのには接種が早く始まった米国でさえ、責任者が「5月から6月の間にそこに到達すると期待している」としており、早くても半年先になりそうです。また、ごくわずかですが、ワクチン接種によって副反応がでる人もいるため、想定より接種のペースが遅れる可能性もあります。新型コロナウイルスが猛威をふるう季節が続くなか、変異種も出現しており、感染拡大防止と経済活動とのバランスをとるのが困難な状況が続く見込みです。

市場動向
国内債券 欧米での景気回復期待はあるものの、国内での新型コロナウイルスの感染再拡大による景気の下振れ懸念から、金利は低位で推移すると予想する。
国内株式 ワクチン接種の開始や追加経済対策などにより景気回復への期待はあるものの、新型コロナウイルス感染者数の増加によりロックダウンの動きが広がっていることなどから、上値が重く軟調な展開を予想する。
外国債券 <米国>追加経済対策の実施やワクチンの普及による経済活動の正常化期待はあるものの、新型コロナウイルスの感染再拡大による景気の先行き不透明感などから、金利は概ね横這いで推移すると予想する。
<欧州>復興基金の活用開始やワクチンの普及によりユーロ圏経済は徐々に回復すると見込むものの、新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う経済活動制限に対する懸念などから、金利は横這いで推移すると予想する。
外国株式 <米国>10-12月期の企業業績発表がより鮮明に回復傾向を示すことに加え、金融緩和の継続や追加経済対策への期待もあり、最高値を更新しての上昇を予想する。
<欧州>ワクチンの普及を前提に経済正常化が進むことに加え、金融緩和継続が下支えとなり上昇を予想する。
為替市場 日銀による追加緩和余地が限定される中、FRB(連邦準備理事会)によるゼロ金利・量的緩和政策の長期化から、ドルは対円で下押し圧力が掛かると予想する。復興基金の活用開始やワクチン普及などからユーロ圏経済が徐々に回復すると見込まれる中、ドルの代替として選好されやすい状況が続くことから、ユーロは対ドルで底堅く推移すると予想する。

ポイント

新型コロナウイルスの新規感染者数は引き続き増加しており、世界全体の感染者数は累計で8,500万人を突破、それによる死者数も180万人を上回っています。1日あたりの新規感染者数(7日平均)が一時20万人を上回っていた米国は、制限措置がとられて一旦減少したものの、足元では再び増加しています。欧州各国については、11月前後からの厳しい制限措置の導入により、フランス、イタリアなどは減少傾向になる一方で、感染力がこれまでより強い変異種が確認されている英国では、生活必需品以外の小売店を閉鎖するなど厳しい制限を課していますが、増加傾向に歯止めが掛かっていません。ユーロ圏の経済活動に対する影響も大きくなっており、10-12月期のユーロ圏のGDPは再びマイナス成長に転じると見込まれています。相対的にアジア・オセアニア地域は総じて落ち着いていますが、一部の国では感染者が増えています。その一つである日本は、Go Toなどの停止が遅れ、国民の行動もあまり変化がなかったことで増加傾向が続き、前回ほど厳しい措置ではないものの、1都3県で「緊急事態宣言」が再発出される見通しとなっています。こうした状況下、米国や英国など一部の国では医療従事者等へのワクチン接種が開始されています。とはいえ、集団免疫と呼ばれる状態になるのには接種が早く始まった米国でさえ、責任者が「5月から6月の間にそこに到達すると期待している」としており、早くても半年先になりそうです。また、ごくわずかですが、ワクチン接種によって副反応がでる人もいるため、想定より接種のペースが遅れる可能性もあります。新型コロナウイルスが猛威をふるう季節が続くなか、変異種も出現しており、感染拡大防止と経済活動とのバランスをとるのが困難な状況が続く見込みです。

今月の主なポイント
1/5 (米)ジョージア州上院議会選挙・・・上院の勢力図がどうなるか
1/27 (米)FOMC(連邦公開市場委員会)・(26日~)・・・現状維持が見込まれる
1/28 (米)GDP速報(10-12月期)・・・どの程度の成長率になるか
1月中 新型コロナウイルス感染拡大・・・上記参照

国内債券

指標銘柄/新発10年国債
12月の国内債券市場

12月の債券市場は上昇(金利は低下)した。
10年国債利回りは、第3次補正予算の規模が市場予想の範囲内だったことや、新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて、中旬に一時0.00%に低下した。その後、金利の低下余地が限定される中、株価上昇のリスクオン地合いを受けて上昇し、月末は0.020%で終了した。

イールドカーブは、上旬にフラット化する場面があったものの、前月末比では概ね横這いとなった。信用スプレッドは、日銀による社債買入オペや投資家による良好な需要から縮小した。

1月の国内債券市場

1月の債券市場は、横這いでの推移を予想する。欧米での景気回復期待はあるものの、目先は新型コロナウイルスの感染再拡大による景気の下振れ懸念から、金利は低位で推移するだろう。

1月の債券市場のポイントは、①新型コロナウイルスの感染再拡大の動向、②米国の政治情勢、③日銀の金融政策の動向と考える。

①<新型コロナウイルスの感染再拡大の動向>日米欧で新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めが掛からない中、多くの国が経済活動に対する制限措置を強化しており、景気の下振れ懸念が強まっている。一方、英国や米国など一部の国ではワクチン接種が始まっており、国内でも実施に向けた準備が本格化し始めている。ワクチンの普及には時間が掛かると予想され、また、ワクチンの普及がコロナの収束に十分な効果を発揮するかどうかも現時点において不確かであるものの、経済活動正常化への期待からリスクオンムードが広がることもあるだろう。

②<米国の政治情勢>米国では1月5日に連邦議会上院の2議席を巡る決選投票がジョージア州で行われる。共和党候補が少なくとも1議席を確保すれば、同党が上院で多数派を維持することになり、これが現在のメインシナリオとなっているが、事前の予想に反して2議席とも民主党が取った場合、上院の多数派を民主党が握ることになり、上院、下院、大統領を民主党が支配する事実上の「トリプルブルー政権」が誕生することになる。この場合、民主党による積極的な財政拡張への思惑から、金利が大きく変動する可能性があり、注意が必要である。

③<日銀の金融政策の動向>日銀は12月に開催された金融政策決定会合で、「現在の枠組みのもとで、各種の施策を点検し、来年3月の金融政策決定会合を目途にその結果を公表する」と発表していることから、点検作業の最中である1月の会合では金融政策の大きな変更は見込まれない。一方、1月の会合で公表される展望レポートの中身とともに、黒田総裁の記者会見での発言などから、点検について新たな示唆があるかどうかに注目が集まる。

イールドカーブは、概ね横這いを予想する。信用スプレッドは、緩やかな縮小を予想する。

国内株式

日経平均株価225種東証株価指数(TOPIX)
12月の国内株式市場

12月の株式市場は、新型コロナウイルスワクチンの実用化による経済正常化への期待に加え、米国での経済対策法案の成立などが好感されて、日経平均株価で3.82%の上昇となった。

月初はワクチンの早期の実用化による経済活動の正常化への期待から上昇したが、その後は米国の経済対策を巡る協議に進展が見られないことなどが嫌気され上値の重い展開となった。中旬以降はFRB(連邦準備理事会)が量的金融緩和策を長期的に維持する方針を示したことなどが好感される局面もあったものの、英国などで新型コロナウイルスの変異種の感染拡大などを受けて弱含むなど高値圏での揉み合いの動きが続いた。年末にかけては、トランプ大統領が経済対策法案に署名し、政府機関の一部閉鎖などの懸念が払しょくされ、景気回復への期待が高まったことなどから大きく上昇し、日経平均株価は、バブル崩壊直後の1990年8月以来約30年ぶりの高値となった。

業種別には非鉄金属、パルプ・紙、海運などが上昇し、空運、ゴム、サービスなどが下落した。

1月の国内株式市場

ワクチンの接種の開始に加え、追加経済対策により景気回復への期待は強いものの、欧米を中心にロックダウンの動きが広がっていることや、1月は外国人投資家が売越し傾向にあることなどから上値が重く、軟調な展開を予想する。

政府は追加経済対策(事業規模73.6兆円、財政支出40兆円)を閣議決定した。この対策の柱は、①新型コロナウイルスの感染拡大防止対策、②ポストコロナの経済構造転換の実現、③国土強靭化策、である。2020年4月の緊急事態宣言と同時に発表された経済対策は、特別定額給付金(国民に一律10万円支給)など国民生活を守るための支援が中心だったのに対して、今回はデジタル化や脱炭素社会の実現など民間の活力を引き出す成長戦略が加わっていることが特徴だろう。足元は、感染者の増加に伴うGo Toトラベルの一時停止などにより景気の下振れリスクがあるものの、ワクチン接種の開始による経済活動再開の動きや追加経済対策の効果などから、来年度の景気・企業業績は回復が続くと予想している。一方、FRBは12月のFOMC(連邦公開市場委員会)で量的金融緩和政策について、これまでの‘数ヵ月間は現状のペース維持’から‘雇用の最大化と物価の安定の進展があるまで継続’へと変更する方針を示した。世界的な株価の上昇はFRBの量的金融政策の影響が背景にあり、今回の政策変更は引き続き株価を支える材料と見ている。

景気・業績の回復などから年間を通しては上昇を予想しているものの、短期的には外国人投資家の需給動向がリスク要因と見ている。また、2014年以降の騰落率を見ると10-12月に上昇した翌年の1月については軟調な動きとなる傾向があり、この点も年初の株式相場を予想する上での留意点と考えている。

外国債券

米10年国債ドイツ10年国債
12月の米国債券市場

12月の米国の長期金利は上昇した。上旬、追加経済対策の早期成立への期待から、金利は0.90%台へ上昇した。中旬に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、購入国債の年限長期化などの追加緩和は見送られたものの、量的緩和の長期継続が示唆されたことから、金利への影響は限定的となった。下旬は方向感に乏しい展開となり、月末は0.90%台前半で終了した。

12月の欧州債券市場

12月の欧州(ドイツ)の長期金利はほぼ横這いとなった。月初より、英国との通商交渉を巡る先行き不透明感などを受けて、低下基調で推移する中、ECB(欧州中央銀行)は追加緩和を決定するものの、市場の想定の範囲内の内容となったこともあり、金利への影響は限定的であった。下旬にかけては、新型コロナウイルスの変異種に対する懸念が高まる一方で、難航していた英国との通商交渉における合意観測を受けて、金利は上昇し、月末は▲0.50%台後半で終了した。周辺国国債とドイツ国債のスプレッドは縮小した。

1月の米国債券市場

1月の米国の長期金利は、横這いを予想する。追加経済対策の実施やワクチンの普及による経済活動の正常化期待はあるものの、新型コロナウイルスの感染再拡大による景気の下振れ懸念や、FRB(連邦準備理事会)によるゼロ金利・量的緩和政策の長期化方針などから、金利は概ね横這いで推移すると予想する。

1月の欧州債券市場

1月の欧州(ドイツ)の長期金利は、横這いを予想する。復興基金の活用開始やワクチンの普及によりユーロ圏経済は徐々に回復すると見込むものの、新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う経済活動制限や英国のEU離脱の影響に対する懸念から、金利は横這いで推移すると予想する。

外国株式

米国S&P500指数ダウ工業株30種平均ドイツDAX指数イギリスFT-SE(100種)指数香港ハンセン指数
12月の米国株式市場

12月の米国株式市場は、S&P500指数で3.71%の上昇と続伸し、史上最高値を更新した。新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される局面もあったが、ワクチン接種が始まったことによる経済正常化への期待に加え、FRB(連邦準備理事会)による量的緩和の長期化観測や27日に追加経済対策が成立したことなどが好感されて史上最高値を更新した。セクターでは、金融、情報技術、エネルギーなどを中心に全てのセクターが買われた。

12月の欧州株式市場

12月の欧州株式市場は、欧州各国での新型コロナウイルス感染拡大に伴うロックダウンの経済に与える影響が懸念されて売られる局面もあったものの、欧州でもワクチンの接種が開始されたことで経済正常化への期待に加え、英国とEUの通商交渉進展が好感されて続伸した。国別では、オーストリア、ポルトガルなどが買われた一方、スウェーデン、ベルギーが売られた。セクターでは素材、情報技術、一般消費財・サービスなどが買われた一方、ヘルスケア、コミュニケーション・サービスが売られた。

12月の香港株式市場

12月の香港株式市場は、中国のマクロ指標が予想を上回り、新型コロナウイルスのワクチン接種の開始で欧米市場が上昇したことなどが好感されて上昇した。その後も、中国政府による大手Eコマース関連企業への介入や米国の中国人民解放軍関連企業に関する規制の影響などが懸念されたものの、米欧市場の一段高に追随して上昇した。

1月の米国株式市場

1月の米国株式市場は、新型コロナウイルスワクチンの接種が開始され、経済正常化への期待が継続し、企業業績がより鮮明に回復傾向を示すことに加え、当面は金融緩和が継続され、追加経済対策への期待もあり、最高値を更新する展開が継続すると予想する。バイデン新大統領の就任を1月20日に控えて、新政権が掲げる政策を織り込む動きが継続するだろう。また、企業業績は回復基調となっているが、1月中旬から本格化する10-12月期の決算内容に加え、今後の業績見通しに関するアナウンスが注目される。市場の変動要因としては、バイデン新大統領の掲げる政策の実行性、新型コロナウイルスの感染動向、米中対立などが挙げられよう。

1月の欧州株式市場

1月の欧州株式市場は、新型コロナウイルスの感染拡大による再ロックダウンにより短期的な景気悪化は懸念されるものの、ワクチンの普及を前提に経済正常化が進むことに加え、金融緩和継続が下支えとなり上昇を予想する。また、企業業績は回復基調となっているが、今後の業績に関する見通しが注目される。また、ユーロ高や英国のEU離脱を巡る動向なども注目されるだろう。

1月の香港株式市場

1月の香港株式市場は、バイデン政権下でも継続すると思われる米中摩擦への懸念は残るものの、中国本土市場が政府主導の財政・金融政策の下支えなどで底堅い動きを継続すると予想されることで米国市場並みの上昇となろう。

為替動向

為替(ドル/円)為替(ドル/ユーロ)為替(ユーロ/円)
12月のドル/円相場

12月のドル/円相場は、ドル安円高となった。FOMC(連邦公開市場委員会)において雇用とインフレに更に著しい進展が見られるまで量的緩和を継続することが示されたことからドルの下落基調が継続し、月末は103円台前半となった。

12月のユーロ/ドル相場

12月のユーロ/ドル相場は、ユーロ高ドル安となった。新型コロナウイルス変異種による景気の下振れ懸念から下落する局面もあったが、ユーロ圏総合PMIの良好な結果やEUと英国の通商交渉合意から対ドルでユーロが買われ、月末は1.22ドル台前半となった。

12月のユーロ/円相場

12月のユーロ/円相場は、ユーロ高円安となった。ユーロ・円ともに対ドルで上昇したものの、上昇幅はユーロの方が大きかったためユーロ高円安となり、月末は126円台前半となった。

1月のドル/円相場

1月のドル/円相場は、下落を予想する。ドル/円は、日銀による追加緩和余地が限定される中、FRB(連邦準備理事会)によるゼロ金利・量的緩和政策の長期化から、ドルには下押し圧力が掛かると予想する。

1月のユーロ/ドル相場

1月のユーロ/ドル相場は、上昇を予想する。復興基金の運用開始やワクチン普及などからユーロ圏経済が徐々に改善する中、ドルの代替として選好されやすい状況が続くことから、ユーロは底堅く推移すると予想する。

1月のユーロ/円相場

1月のユーロ/円相場は、上昇を予想する。ドルは円・ユーロに対して下落するが、ユーロに対する下落幅の方が大きくなるため、ユーロ/円は上昇を予想する。

虫眼鏡

『2020年あれこれ』

2021年。
新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。

さて、昨年2020年は、新型コロナウイルス一色で終わった特異な年となり、これまでの生活が、180度とは言いすぎですが、大きく変化をした1年となりました。

仕事で言えば、働き方改革の大きな前進とも言える、テレワークの本格始動、時差出勤、インターネットツールを使った会議の開催など、戸惑うことはあったものの、今やそれが「普通」のスタイルになりつつあり、出勤しなくても仕事はできることがとうとう(やっと?)分かってしまいました。

私生活で言えば、予定していたことの殆どがキャンセルせざるを得なくなりました。それに対する悲痛の叫びは枚挙に暇ないのですが、一つ挙げるとしたら、筆者が最も愛するアーティスト「THE ALFEE」の恒例コンサートが無期延期となった時でしょうか。彼らは見た目こそは(特に向かって右サイドの人)若いですが、実は全員前期高齢者で、あと何年コンサートをやれるか?と心配しながらコンサートを観に行っていたこともあり、この1年間のブランクは後々に響くなあと思うと辛いものがありました(ただ、秋以降はインターネットやテレビなどで精力的に活動をされており、ホッとしています)。

そして何より深刻だったことと言えば、平日の出勤日の多くがテレワークになったことや、コロナ禍での外出禁止などで歩くことが激減し、特に緊急事態宣言後などは、週末に行っていたジムが休館になってしまったこと、また外出制限も重なり、自分の身体が「ちょっと重たいぞ」と感じるようになったことでしょうか。中年と言われるカテゴリーに属している筆者は「中年は一度ついた贅沢な肉(贅肉)はなかなか元には戻らないから、本格的につく前に何とかせよ!」と多くの先達から聞いてはいたものの(何とかせよ、といいつつ具体例は教えてくれない)、果たしてこのいろいろな制限の中でできることはあるのか…。

そこで思いついたのは、今や当たり前の「糖質オフの食事制限」。低糖質(低GI)のものを摂って緩やかに血糖値を上げるというあれです。晩酌が日課の筆者は、米は飲むもの(いわゆる日本酒)としているので、夜は米を食べません。高GIの代表の白米を食べないので楽勝かと思いきや、実は日本酒は高GI(確かに米が原料ですので…)。あとは、「とりあえず生ください」的に頼んでしまう、ビール。これも高GI(!)。そして大好きな小籠包や餃子。これも高GI(!!)。実は糖質接種過多中年でした、自分。

まずはそこを(少し)改めつつ、あとはやはり運動、なのですが、ジム閉鎖中のため、「テレワークの日は始業前、昼休み、終業後にとにかく歩く。休日も歩く。」という抽象的な目標を立てることにしました。 高い目標だとやる気がでないから…とその時は思っていたのです。

こうして3月初旬から、ほぼ毎日朝昼晩、家の近所を歩き始めました。当初は、家の近所にこんな場所があったのか、こんなところに美味そうなお店があるから(いつになるかわからないけれど)今度来てみよう、など新しい発見がありときめいたのですが、流石に限られた時間で歩く範囲は大体決まってくる中で、毎日同じような景色にだんだんと飽きてきました。コロナ対策でしているマスクも暑く、モチベーションが上がらない日が続いていたある日、会社の同僚と同じ苗字(2つ)が横隣りに並んでいる表札を見つけました。1つは珍しい苗字だったので「こんなところにもあるのね」と思った時に、閃きました。会社にいる全員と同じ苗字を探すことを目標にして歩こう、と。たかだか50ほどの苗字、すぐに見つかる、はず。

かくして、苗字(表札)探しの旅が新たに始まりました。晴れの日は勿論、曇りの日も、風の強い日も、雨の日も。これまで通ったことのなかった小道を探して進む姿はまさに(自称)冒険者。不審な人に思われないように細心の注意を払いつつ、発見する喜びを噛みしめながら。

さて、その旅の経過ですが、原稿を書いている2021年1月4日現在、探した苗字の数は42で、残念ながら未達です。更に残念なことは未達の中に弊社社長「奥本さん」の苗字も入っていることです。感覚的には「ありそうな苗字」なのですが、未だ発見できていません。奥「田」さん、奥「山」さん、奥「野」さん、惜しい・・・。もし、ご近所で「奥本さん」の苗字を見つけましたらご連絡頂ければ幸いです。

最後に、壮大な苗字探しの旅に至ったそもそもの要因「贅沢な肉」の問題についてですが、上記のような散歩を続けていた結果か、無事「贅沢」にならないまま解決しましたことをご報告いたします。

そして2021年も、世界中に蔓延する新型コロナウイルスの終息を心から願いながら、歩き続けていきたいと思います。