富国生命投資顧問株式会社

レポート

Vol.35

SASBの「Engagement Guide」のESGエンゲージメントを紹介する第15回目の今回は、「テクノロジー&コミュニケーション(Technology & Communications)」セクターから「通信(Telecommunications)」関連企業とのエンゲージメントテーマを取り上げます。

通信業界は、無線サービスと有線サービスの2つの主要セグメントで構成されています。無線サービスセグメントでは、無線に基づく携帯電話網を介した直接通信を提供するとともに、関連する交換器や送信設備の運用・保守を行っています。一方、有線セグメントでは、公衆交換電話網を介して地域および長距離音声通信を提供しています。また、有線通信事業者は、拡大しつつある光ファイバーケーブルネットワーク上でVoIP(Voice over Internet Protocol)電話、テレビ、およびブロードバンドインターネットサービスを提供しています。

通信業界のエンゲージメントテーマは、「環境」「社会資本」「ビジネスモデルおよびイノベーション」「リーダーシップおよびガバナンス」「その他考慮事項」で構成されています。

「環境」については、「事業上の環境フットプリント」をテーマとし、「携帯・固定ネットワーク基盤におけるエネルギー使用を削減するための企業戦略はどのようなものか?」そして「企業のコスト削減の可能性と過去の実績はどのようなものか」についてエンゲージメントで取り上げています。

「社会資本」については、「情報の機密性」と「情報の保全」をテーマとしています。「情報の機密性」では、「収益機会のために顧客の個人情報を活用することと顧客のプライバシーを保護することをどのように管理しているか?」、「顧客情報に関する政府当局や法執行機関からの要請にどのように対応しているのか?」、「当局から要求される情報の監視、遮断、選別、検閲に対して、企業はどのようなリスクを受けるのか?そして、こうしたことが企業の信用や成長にどのように影響するのか?」という点に焦点を当てています。「情報の保全」については、「どのようにして製品ライン全体のデータセキュリティに関するリスクを特定し、対処しているのか?」、「情報漏えいがあった場合の顧客へ通知手順はどのようなものか?」、「サイバー攻撃から保護・防御するため、社内ではどのようなプロセスを採用しているのか?」という3点について注目しています。

「ビジネスモデルおよびイノベーション」では「製品の耐用年数の管理」をテーマとし、「製品に含まれる潜在的に有害な化学物質の存在を監視、削減、もしくは除去するために、どのような戦略を採用しているのか?」、「経済的に利用可能な素材を回収したり、耐用年数を終えた製品を再利用することに関して、どのような戦略を持っているのか?」という点を確認しています。

「リーダーシップおよびガバナンス」に関しては、「技術的障害によるシステミックリスクの管理」および「競争的行為」の2つをテーマとして掲げています。「技術的障害によるシステミックリスクの管理」については、「自社のITシステムとソフトウェアの信頼性や品質を適切に検証・保証するために、どのような戦略を講じているのか?」、「ネットワークサービスの信頼性と品質を向上するために行ってきた設備投資の水準とはどの程度か?」という点を取り上げています。「競争的行為」については、「反競争的行為に関するリスクを軽減するため、どのような内部統制を構築しているのか?」という点を確認しています。

「その他考慮事項」では、「無線、有線、ブロードバンド加入者」、「ネットワークトラフィック、携帯電話網の割合、固定電話網の割合」、「ネットワークの帯域幅の容量、リース率」が挙げられます。